猫3種混合ワクチン


はじめに−猫ワクチンが変わった!
新しいワクチンの効果と不安点
パナゲンは効果が無いの?
獣医師さんと充分に話し合いをなされていますか?
国内猫3種混合ワクチン詳細


「はじめに−猫ワクチンが変わった!」

ワクチンは、人間においても動物においても、ウイルス病から身を守ってくれる頼みの綱です。近年は飼育している犬猫を大切な家族の一員として捉える方も多くなり、日本でも動物用犬猫ワクチンの接種率が向上して来ました。
そしてこの度、さらに強い免疫力を得るために開発された新ワクチンが発売され、16
年近く広く使用されてきた猫の3種混合ワクチン「パナゲンFVR C-P」に代わり、2001年度より流通するようになりました。
どんなワクチンであっても各々の個体により合う合わないはあるもので、アレルギーを起こす猫が全く居なかった訳ではないものの「パナゲン」は比較的安全なワクチンだと言われてきました。
しかし、近年白血病や猫エイズの猫が増え、免疫の弱まったこれらの猫を始めとして、「パナゲン」接種により、カリシウイルスに感染してしまう猫が出てくるようになったという説があったため、抗体価が高く感染の危険性の無いワクチンとして新しい「フェロ○○○○○」が登場してくるようになったのです。
確かに近年の伝染病の爆発的な蔓延や、時と共に抵抗力を付け進化して行くウイルスに対抗するため、ワクチンも進化の必要がある反面、我々飼い主にとっては、高い免疫力を持つワクチンを接種することによるアレルギー症状(副作用)に対しての不安があります。まだ新しいワクチンは日本においてのデータが少ない事もあり、アレルギーの出やすい子や老齢、幼齢の猫をかかえる飼い主にとっては尚更心配です。現に我々の回りでも新ワクチン接種後に体力的に弱い幼猫を始めとして発熱などのアレルギー症状を出す猫が増えています。
新しいワクチンの利点と、「パナゲン」の長年の安全性という利点を、またその他のワクチンを、各々の環境や猫の状態によって、獣医さんとの相談の上、選択できる状態が1番望ましいのですが、「パナゲン」を接種して欲しいとお願いしても動物病院や製薬卸業者ではすでに新しいワクチンが主流となっているようです。中には「パナゲン」の代わりに重篤なアレルギーを起こす可能性が高いと言われている他のワクチンを打たれた猫が、重い副作用を起こした例もあります。我々飼い主もワクチンの利点やリスクを知る事がまず必要です。無関心は飼い主として飼育している動物の健康を守る義務を放棄している事と同じなのだと知って欲しいのです。その上で我々も本当に生命に優しい医療を選択していけるようになりたいものです。


「パナゲン」とは・・・・・

猫の場合、日本で長年使われてきたワクチンは「パナゲン」というワクチンです。これは昭和46年に共立商事から1種ワクチンとして猫のワクチンとしては国内で初めて発売されるようになり、昭和60年に現在の3種混合ワクチンとなりました。3種になってから今年で15年経ちますが、1番安全性が高いとして多くの動物病院で使用されてきました。しかし、さらに免疫面で強い効力が期待される新ワクチン販売に伴い2000年9月で共立商事からの「パナゲン」の発売が中止になりました。2000年10月より武田シェリング・プラウ アニマルヘルス株式会社から発売されるようになりましたが、今後も今までの様に動物病院で取り扱ってくれるかは、獣医さんや製薬卸会社の意向にも左右されるでしょう。


「新しいワクチンの効果と不安点」

16年に渡って、広く使用されてきた猫3種混合ワクチン「パナゲンFVR C-P」が、新しいワクチンの販売に伴い、動物病院で扱われないようになってきています。
この原因の一つとして考えられるのは、「パナゲン」は抗体価を得てはいるものの、少数の個体(猫)に対して抗体価が上がらない(つまり免疫力が弱い)とのデータがあったためです。また、近年白血病や猫エイズの猫が増え、免疫の弱まったこれらの猫を始め、「パナゲン」接種により、カリシウイルスに感染してしまう猫が出てきたという事から、抗体価が高く感染の危険性の無いワクチンの研究が進められてきました。
そして、このたび、新しいワクチン「フェロバック○3」が国内で発売され、すでに2000年に入ってから「パナゲン」に代わって多くの動物病院で使用され始めています。
確かに、各都道府県、各地区によってそれぞれ環境は違い、伝染病の蔓延率、感染率も異なります。厳密に言えば何年何月〜何年何月にかけて、この地区ではこの伝染病が蔓延しているという事まで異なってきます。ですから環境や状況等によっては、「パナゲン」で充分に抗体を得る事が出来ない猫も居るかもしれません。また時と共に抵抗力をつけてくるウイルスに対抗していく必要もあります。そんな場合は確実に抗体が出来るよう新しいワクチンも必要かもしれません。
しかし、多くの飼い主に情報を開示されないまま、新しいワクチンの販売が開始されて数ヶ月。確実な抗体価と安全性を求められ開発されたワクチンは、理論の上では優れた効力と安全性が期待されるものの、発熱症状を始め深刻な副作用(アレルギー)を起こす猫がすでに私達の回りでも何例か出て来ています。
「フェロバック○3」は不活化(ウイルスを殺した後に、個体(猫)に摂取し感染させて抗体を得る)ワクチンですが、医学的な理論の上では、生きたウイルスを弱らせて接種する生ワクチンよりも、安全性が高いとされています。しかし、実際には、不活化ワクチンの多くが生ワクチンを主とする「パナゲン」よりも重篤な副作用が起こっているように思えます。副作用でも、発熱症状の場合はある意味、体がウイルスと戦って抗体を作ろうとしている現われであることも考えられ、一概に危険な事であるとは言い切れませんが、これら不活化ワクチンは接種後に歯茎が腫れて歯が抜け落ちたり、その後肝臓や腎臓が悪くなり死亡するという例があり、副作用と言ってもかなり問題があるように思えます。
勿論このような副作用症状が全ての猫に起こっている訳ではありませんし、これらはほんの一部の事なのでしょうが、まだ実際に現場での臨床データーが少ない事もあり、我々消費者は新しいワクチンの必要性や利点を認めつつもやはり不安を抱かずにはいられません。


体験談から気になった事

「フェロバック○3」の接種後の体験談を集めてみて気になる事があります。子猫は初年度生後2ヵ月目と3ヵ月目にワクチンを打ちますが、今年初年度ワクチンとして「フェロバック○3」を接種した子猫達が1回目では何ともなかったのに2回目の接種後発熱症状があったパターンが多いのです。
これがなぜなのか現在調査中ですが、恐らくアレルギー反応なのでは無いかと考えています。
例えば、蜂に初めて刺された時は体に蜂毒の抗体が無いため何ともなくとも、刺された事により体に抗体ができ、アレルギー反応の強い人はショック死することもあります。ですから蜂に刺された経験のあるアレルギー体質の人は注意しなければなりません。アレルギーというのはこのように、初回よりも2度目、3度目の方が怖い場合があります。
そんな事から、今年初めて「フェロバック○3」を打った猫達が来年追加接種を受ける時、アレルギー症状を出す子が増えるのではないか、と気になります。



「パナゲンは効果が無いの?」

確かに数字上のデータでは、「パナゲン」の抗体価は高くないものなのかもしれませんし、慢性鼻気管炎などでヘルペスウイルスやカリシウイルスを保有する猫は「パナゲン」を打っていても、他のヘルペスウイルスやカリシウイルス保有の猫との接触で症状がひどくなったり、ウイルスに対して他の猫よりも過敏になる事は実際あります。しかし、すでに病気を持っている子には「パナゲン」に限らずどんなワクチンを打っても結果は同じであり意味は無いと専門家は言っています。つまりこれは「パナゲン」だけの欠点では無いという事です。また稀に「パナゲン」接種によってカリシウイルスに感染してしまう猫がいると言われていますが、恐らく、近年ウイルス保有猫(猫エイズや白血病、伝染性腹膜炎など)が増えてきたことも一因であると思われます。病気を持っていても症状の出ていないキャリア猫の場合、健康そうに見えても免疫が弱まっている事もあり、その結果ワクチンによって感染してしまった可能性は否定出来ません。そうであれば「パナゲン」だけが感染の危険性があるとは必ずしも言えません。
どんなワクチンであっても各々の個体により合う合わないはあるものですが、我々の経験上、「パナゲン」は比較的安全で病気予防の意味でも充分に効力のあるワクチンです。
私達は沢山の猫と常日頃接する機会が多いですが、「パナゲン」を打ってある猫は(3種の)病気の子といっしょに居てもほとんど感染することはありませんでしたし、たとえ感染したとしても、ごく軽い症状が出るだけでそれもすぐに治まっていました。勿論これも個体差、地域差があり、一概に言い切れるものではありませんが、「パナゲン」で充分な免疫が出来ている地域の一般的な個体(猫)に対しては、それ以上に強く免疫を持たせるワクチンを摂取する事はあまり必要のない事ではないでしょうか。むしろ、必要以上の効力を求めることによる副作用の方が非常に心配です。特にアレルギーの出やすい猫にとっては大きなリスクとなるからです。
もちろん「パナゲン」でもアレルギーの出る子が居ない訳ではありませんが、それは他のワクチンに比べると本当にごく稀であったと思います。完璧ではないにしろ、自分達の体験上一番安全性が高く長年の実績がある「パナゲン」を数字上のデータだけで無くして欲しくはありません。



「獣医師さんと充分に話し合いをなされていますか?」

コンパニオンアニマル(伴侶動物)と、呼ばれるように成った昨今、動物医療に対しても『インフォームド・コンセント』(informed con-sent)={*医師が診療の目的・内容を患者に充分に説明し、同意を得てから治療を進める事*文献抜粋) の必要性が高まっています。
飼い犬や飼い猫の医療行為を行うのに当たり、獣医師さんと、充分にお話をしたいと思われている方は、沢山居られます。飼い主だけでは無く「インフォームド・コンセント」の必要を痛感し実践されている獣医師さんも居られます。しかし、実際にはどれだけの飼い主さんが、係りつけの獣医師さんと、充分な話し合いをされているでしょう?「聞きたくてもお忙しそうだから・素人の飼い主が考える事では無い・聞いても教えてくれなかった」等の理由で、なされていないケースが殆どのように思えます。
しかし、人間の様に言葉を持たない動物は、どこか悪くても「ここが痛い」等の説明をする事は出来ません。その子の状態を一番知って居るのは飼い主さん本人であり、また唯一の代弁者であるのだから、飼い犬や飼い猫に一番合った医療行為を的確に行う為に、飼い主さんも、獣医師さんとは充分に話し合いをするべきです。
例えばワクチン一つにしても、環境等により各々状況も違いますので、地区毎や各々の個体によって接種するワクチンを選ぶという事も必要不可欠な事です。
もちろんワクチンプログラムには専門知識が必要であり、どのワクチンが適切か判断するのは獣医さんになるのですが、複数のワクチンを所持し、ワクチン複暦の事 や、その土地に合った物、その子(犬猫)の生活環境をも、充分に考慮し、飼い主 さんと充分に話し合いをされてから、ワクチンを選び接種されている獣医師さんは、ごく少数であるようです。飼い主さんも全てを獣医さん任せにするのでは無く、動物を飼う以上、全ての事に責任を持ち医療行為についても勉強していくという姿勢が必要です。その上で飼い主さんと動物たち、獣医さんとの間に、より良い関係が育って行く事を望まずにはいられません。







「国内猫3種混合ワクチン詳細」

パナゲンFVR C−P
販売元 平成12年9月末まで、共立商事株式会社
平成12年10月1日から、武田シェリング・プラウ アニマルヘルス株式会社
製造元 シェリング・プラウ アニマルヘルス社(アメリカ)
承認日 昭和60年8月21日
剤 型 〔動生剤〕=生(乾燥)と不活化(液状)混用・3種混合ワクチン
培養組織細胞名 以前はネコ腎細胞(猫の腎臓:伝染性腸炎に関して)とネコ舌細胞(猫の舌:ヘルペス・かリシに関して)、現在はネコ腎細胞のみ
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕

(A) 接種後、まれに一過性の疼痛、元気・食欲不振、発熱、等を示す事があり、過敏体質のものではアレルギ―反応《顔面腫脹(ムーンフェース)・掻痒・じんましん等》又は、アナフィラキシー反応《ショック(虚脱・貧血・血圧低下・呼吸速迫・呼吸困難・体温低下・流涎・ふるえ・痙攣・尿失禁等)が起こる事があります。
備 考 このワクチンの特徴でも有るが、猫汎白血球減少症に対しては不活化を使用しているが、*アジュバントが使用されていないのが特徴で有り、利点。
パルボである、伝染性腸炎はアジュバントで、免疫助成を行わなくても、充分効果が上がるので、猫にとっては大変危険であるアジュバントを使用する必要が無いとされている。

(*アジュバンド=死んだウイルスを体内に導く「運びや」兼、細胞にくっつかせる「接着剤」みたいなものと捉えると分かりやすい。詳しくは「アジュバンドとは?」の欄を御参照下さい。)


フェロバックス3
販売元 共立商事株式会社
製造元 フォート・ダッジアニマルヘルス社(アメリカ)
承認日 平成11年9月30日
剤 型 〔動生剤〕=不活化(液状)・3種混合ワクチン
アジュバント 問い合わせたが、現在特許申請中の為、詳しくは回答出来ないとの事
※その後の調査で「ミネラルオイルアジュバント(コポリマー加)と解る
培養組織細胞名 問い合わせたが、現在「アジュバント」の特許申請中の為、詳しくはお話出来ないとの事
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕
(A) 接種後、アレルギー反応《顔面腫脹(ムーンフェース)・掻痒・じんましん等》又は、アナフィラキシー反応《ショック(虚脱・貧血・血圧低下・呼吸速迫・呼吸困難・体温低下・流涎・ふるえ・痙攣・尿失禁等)》が見られることがあり、それは接種後30分位までに発現する場合が多くみられます。
備 考 会社が明示している事意外の副反応を多く認められます。この要因として考えられるのは、恐らく、「フェロバックス3」の流通が一番多いと思われ、その結果他のワクチン以上に検証しやすいという点が挙げられと思います。


フェロセルCVR
販売元 ファイザー製薬株式会社
製造元 ファイザー社(アメリカ)
承認日 平成11年6月3日
剤 型 〔動生剤〕=生(乾燥)・3種混合ワクチン
培養組織細胞名 ネコ腎細胞(猫の腎臓)
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕
(A) 接種後、まれに疼痛、元気・食欲減退、腫脹、発熱、嘔吐、下痢等を示す事があり、過敏体質のものではアレルギ―反応《顔面腫脹(ムーンフェース)・掻痒・じんましん等》又は、アナフィラキシー反応《ショック(虚脱・貧血・血圧低下・呼吸速迫・呼吸困難・体温低下・流涎・ふるえ・痙攣・尿失禁等)が起こる事があります。
備 考 一部で、「3年以上の効能を持つ」との、噂がありましたが、販売元に確認した所、「室温保持・滅菌された部屋(実験所)で飼われ、すでに本剤を接種している猫に対し、野生株(実際に我々の元で暮らしている猫が感染する病原体)を投与した所、7年効力が持続していたが、それが猫自身の抗体生産によるものなのかどうかは解らないまでも、とにかく発病はしなかった」という外国での報告があったそうです。


京都微研・フィライン−3
販売元 株式会社 微生物科学研究所
製造元 株式会社 微生物科学研究所(国内)
承認日 平成10年12月24日
剤 型 〔動生剤〕=不活化(液状)・3種混合ワクチン
アジュバント 無水マンニト―ル・オレイン酸エステル加流動パラフィンからなる混用
培養組織細胞名 ネコ腎細胞(猫の腎臓)
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕
(A) 接種後、まれに一過性の疼痛、元気・食欲不振、発熱、嘔吐、下痢等を示す事があり、過敏体質のものではアレルギー反応《顔面腫脹(ムーンフェース)・掻痒・じんましん等》又は、アナフィラキシー反応《ショック(虚脱・貧血・血圧低下・呼吸速迫・呼吸困難・体温低下・流涎・ふるえ・痙攣・尿失禁等)が起こる事があります。
(B) 接種局所において、このワクチン成分により、どろっとした液体やオイルアジュバント(免疫助成剤)特有の免疫賦与(めんえきふよ=免疫を先天性に授かっている事)に伴う反応を生じ、その為猫によっては接種部位の皮下にしこりをつくる場合があります。
備 考 会社が明示している副反応以外にも認められる副反応が、他のワクチンより多いようです。


フェリドバックPCR
販売元 明治製菓
製造元 インターベット(ドイツ)
承認日 平成10年2月26日
剤 型 〔動生剤〕=不活化(液状)・3種混合ワクチン
アジュバント 水酸化アルミニウムゲルからなる混用
培養組織細胞名 ネコ腎細胞(猫の腎臓)
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕
(A) 接種後、一過性の腫脹が認められる場合があり、接種直後に一過性の副反応(疼痛・食欲不振・下痢・嘔吐)が、認められる場合があります。過敏体質の猫ではまれにアレルギ―反応、又はアナフィラキシ―反応が起こる事があります。
(B) このワクチン接種により、線維芽肉腫の発生率が僅かに高まるとの外国の報告があります。


猫用ビルバゲンCRP
販売元 大日本製薬株式会社
製造元 ビルバック社(フランス)
承認日 平成6年4月20日
剤 型 〔動生剤〕=生(乾燥)・3種混合ワクチン
培養組織細胞名 ネコ胎児肺由来細胞(猫の胎児の肺)
効能効果 猫ウイルス性鼻気管支炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の予防
副反応 〔販売元提示〕
(A) 過敏な体質のものでは、まれにアレルギー反応、またはアナフィラキシー反応が起こる事があります。アナフィラキシー反応は、本剤接種後30分くらいまでにみられます。 



homemenu