里親詐欺は対岸の火事ではありません!知って下さい!〜ある里親詐欺被害の実例より

里親詐欺被害の実例気になった事例よくある御質問


 里親詐欺被害の実例 

                      
<はじめに>

我々の元へは、日々、全国から、多数の不審者情報やお問い合わせ、御相談が寄せられております。また実際に被害に遭われた方からのご相談も少なくありません。
不審者と思われる人物に関しては、時に、名前を偽り、メールアドレスを使い分け、相手の状況によってメールの文面を変えたり、と、日々手口も巧妙になってきているのを実感致します。
また、毎日のように全国から新しい名前が不審者としてあがってくる状況です。こんな現状を目のあたりにしている我々だからこそ、日々全国の皆様には充分慎重に里親探しにあたって頂くよう注意を呼びかけておりますが、いくら我々が口をすっぱくして呼びかけ続けていても、頭では「気をつけなければいけないんだな」と思っては下さっても、現実のこととして実感出来ないまま、どこか遠くで起こっている『対岸の火事』的な感覚しか持てないままでおられる方も決して少なくはないでしょう。「まさか自分が」被害に遭われた皆様、各々、そうおっしゃいます。
しかし、今や里親詐欺被害は地域に限らず、日本全国で発生しており、インターネットという媒体により、距離は関係なくなってきています。今までは被害に遭わなかったとしても、これからもそうであるという確証は決してないのです。しかし、それは、我々からの呼びかけだけでは、実感して頂くことにも限界があります。そこで、我々は常々、被害の実例を実際に皆様にお伝えすることによってより一層、皆様に現状を知って頂くことに繋がるのではないかと考えて参りました。しかし、被害の実例を公開するにあたっては、被害者の方のプライバシーにも考慮せねばなりません。
公開に難色を示される方もおられます。また、被害者から犬猫を騙し取った里親詐欺本人の目にその実例がとまることがあった場合、いくら匿名で事例報告をしたとしても、里親詐欺からはその被害者が誰なのか検討がつきます。それによって被害者の方に何らかの嫌がらせが及ぶ危険も考慮しなければなりませんでした。
そのため、公開したい気持ちは山々ながら、情報を寄せて下さった被害者の方々への配慮から、なかなか叶わないままおりましたが、我々がお勧めしている基本的な防衛方法に従っていて下さりさえすれば被害は防げたかもしれないのに、それを目にしながら、「自分は大丈夫」という安易な油断から、せっかくの防衛方法も利用されないまま被害に遭われる方も出てきたため、より一層皆様に現状を伝えなければならない必要が出て参りました。

そんな折、里親詐欺と思われる女性に子猫3匹を渡された方からのご相談があり、その際にご相談者が、今後の被害防止の役にたてるならと、譲渡までの経緯の詳細を文章にまとめて下さいました。当事者が語る詳細はどんな説明よりも皆様に、実際の被害の実例として実感頂けるものだと思いましたので、この方の手記をまず冒頭に御紹介させて頂きます。

今後順次、被害例を追加公開していきます。過去の被害例も少しずつまとめて、これも順次追加していきたいです。しかし、上記で触れたように全てを御報告することは叶わない場合もございます。特に調査中の事例の場合など、警察への捜査の依頼などのため、公開出来ないこともあるでしょうし、また状況によって被害者のプライバシーに配慮する必要がある場合もございます。被害者の方やご相談者の方が公開を了承して下さった事例の中から許される範囲で出来るだけ我々も公開に努めて参りますが、これらの事情から、被害者の身元の特定が叶わぬように、事例内の設定を一部変えて公開する場合も出て参ります。その点を予め御了承頂きたいと思います。

「2度と不幸な子を作って欲しくない、2度と自分達のように辛い思いをして欲しくない」という切実な思いから、勇気を持って情報の提供をして下さった方、そしてその公開を了承して下さった方の思いを無駄にしないよう、この実例集を真摯に受け止めて頂きたいと思います。どうか皆様、その命への責任を背負っていることを決してお忘れにならないよう、責任を持った里親探しをなさって下さい。



 里親詐欺かと思われる人物に子猫3匹を譲渡されたAさん(仮)の手記より 

「Yからメールがきたのは、掲示板に里親募集を載せてから5日程経った頃でした。
既に数件の里親希望メールはあったものの、結局は決まらないままでした。
里子になる猫ちゃんの幸せを考え、決定条件を厳しくし過ぎているのだろうか、やはり里親になりたいという人の善意を最大限に尊重し信用しなくては、決まるものも決まらないのではないだろか、などという思いが私の頭をかすめ始めていた頃でした。
Yからのメール内容はとても簡単なもので、「三毛の子を探しています。まだいれば電話下さい」と書かれ、携帯のナンバーが添えてありました。
「子供からかも・・・」と思わせる稚拙(ちせつ)なメールで、もしこのメールがもっと早くきていたら或いは連絡しなかったかもしれません。ただこの時は既に数件の破談があり、私は、「取りあえず連絡してみよう」と半ば自棄的気持ちで連絡をとりました。が、電話で話をすると普通の人で、年齢を尋ねると「30代前半」ということでした。
そして、「とりあえずメールで写真をおくりましょうか?」と尋ねる私に、「実物を見てからでないと・・・」という返答が返ってきました。
確かにそれもそうだなあ・・・と思った私は、じゃ、まずは御対面だけでも、ということで相手の指定した場所に3匹を連れていったのです。
ただの面接だけでここまで訊いていいのかなあとは思いながら、取りあえず相手の氏名・住所・携帯以外の電話番号だけはと尋ねると、淀みなく返答が返ってきたので、安心感が生まれました。ですからそれが本物かどうかまで調べる知恵が出てきませんでした。今思うと、この時すでに私はYを信頼する方向に心が傾いていたのです。
対面は、夜でした。指定の場所に現われたYは、本当にごく普通の人で、どちらかというとすこしやぼったく鈍重(どんじゅう)なようにも見えました。また、乗ってきた車も古いハイ・エースで、全く怪しいムードなどありませんでした。ちょっと偏屈で人間関係は下手だけど、動物は大好き、というイメージの漂う外見でした。そして、対面。
簡単な挨拶をすませ(この挨拶も全く滞りもなく行われました)、3匹の子猫を見たYは「かわいい」と歓声をあげて抱き上げ、すっかり気に入った様子でした。
その姿は自然で微笑ましくもあった程でした。その後会話も弾み、「じゃ、ぜひ里親になりたい」という申し出に、私は何の疑いも持つことができず「よろしくお願いします」と言ったのです。「仔猫だから引き離すのは可哀相だし、家は広いので3匹とも引き取ります」の言葉にも、「ありがとうございます」の言葉以外出てきませんでした。
「どうやらこれで里親が決まりそうだなあ・・・」と安心した私は、「じゃ、今日はひとまず連れて帰ります」と言いました。すると、「えっ?」と不思議そうな顔で、「こんな遠い距離を何度も移動するのはネコちゃんもかわいそうだから、もう今日このまま頂いていきますよ。すでに1匹飼っているので、用具とかはそろってますから・・・」という言葉が返ってきました。
私は一瞬躊躇しましたが、確かに、その場所は我が家より車で1時間以上かかる所で、仔猫にとっては移動の負担は大であることも事実の様に思えました。
しかし、指定の場所はスーパーの駐車場だったので、やはりここでの引渡しは危険過ぎると、納得できなかった私は「ご自宅まで行ってからではいけませんか?」と尋ねると「ええ、この近くですからいいですよ」とあっさりとオーケーされ、自宅まで案内されました。その家は、けっこう築年数を経た家で、普通の家でした。夜間のことであり、家の中までは入ることはかないませんでしたが、そこが仮の家と思わせる所作もなく、むしろこちらの安心感を増大させました。
そしてすっかり安心してしまった私は、仔猫を引き渡してしまったのです。でも、やはり承諾書は書いてもらうべきなのではと考えたのですが、この日はただの対面としか予定していなかったので、承諾書も何も準備していませんでした。が、それでも一抹の不安を拭いきれない私は「今日、この場で即決するとは思っていなかったので、この子達のネコ缶とかを家においてきてしまったのですが、
明日にでも持ってきていいですか?」と尋ねました。すると、全く淀みなく「いいですよ!」という返答が返ってきたのです。
この返事も信用を増す材料になりました。
安心して帰路についた私と、同行してくれた主人とで、「これで3匹が幸せになってくれれば・・・」と祈る言葉ばかりを口にしていました。帰宅した時は既に日付が変わっていました。
急に3匹がいなくなったので、なんだか落ち着かず、切ない気分で1夜を過ごしました。主人も同じ気持ちだったようです。
次の日になりました。私たちは仕事もあったのですが、2人とも猫のことが気になって結局仕事を早退してしまい、仔猫の様子を見に行こうということになりました。
すでに昨日の引渡しの時点で了解をとってあるので、問題はないだろうとタカをくくっていました。そしてYに、「昨日も言ったように、今日の午後4時頃訪ねてもいいか?」と訊こうと、電話をしました。しかし、全然つながらないのです。
「???」・・・焦った私は、104で聞いていた住所で電話番号確認をすると該当がありません。悲鳴がでそうになりましたが、今は未登録の電話も多いと自分を納得させました。
そして今度は、聞かされていた電話番号から住所をわりだすと、昨日教えられたのとは別の住所にその電話は実在しているのです。混乱しつつ、私は電話をかけ続けました。
私の携帯からだとダメなら・・・家の電話でと思い、それを使うと、なんとあっさり繋がったのです。
???訝しい思いで「これから訪問してもいいですか?」と問うと、即、何の淀みも無く、「はい、どうぞ」という言葉が返ってきました。何が何なのかわかりません。電話はなかなか通じず、策を練ったらあっさり通じて、了解の返事。
どう捉えたらいいのでしょうか???善悪の判断がつきません。取りあえず行って確かめよう、という気持ちで出かけました。
そして、昨日の家にYはいました。2歳位の子供も一緒でした。しかし明るい所で確認するとYの名前と家の表札の名字が違います。その旨尋ねると、「ここは主人の実家で、住居は別の、もっと山の中にある。そこは不便なのでこちらを紹介した」と、言われました。そして、教えられていた電話番号は住居のものだということでした。「ああ、そうか・・・」と納得せざるをえませんでした。ウソとは思えませんでした。なぜなら、この時私たちは、家の中で話をしていたのです。
他の家人の姿も奥に見えてました。Yとその人は家族である会話をしています。子供もいます。どの角度から見ても、普通の家庭でした。これ以上触れたら、必要以外のプライバシーの侵害になると思えました。3匹の猫はゲージに入れられ、元気そうにしてました。私は持参した猫缶を渡しながら承諾書の事にふれました。するとYは、とても悲しそうな顔で、「書くことに問題はないけれど、こんな物を交わさなければ信用できないなんて、悲しいことですねぇ・・・」とため息交じりにもらされました。
私はなんだか私がすごく人間不信の、ひどい者に思えてきて、恥ずかしくなってしまったのです。そして承諾書に署名してもらうことを断念してしまいました。
(今となっては、この時もっと無理強いする強さを持つべきだったと、悔やんでも悔やみきれません)
本当の住居を未確認という一抹の不安を拭いきれない私に、Yは「遠い所をごくろうさま」と、卵のおみやげをくれました。それは余りに家庭的でした。私の疑惑の心を霞ませるには充分だったのです。Yは「また猫ちゃんの様子はメールで送りますね。写真ももちろん送ります。」と言い、「また訪問してもいいか?」の問いにも「勿論、いいです!!」と即答してくれました。
嬉しかったです。こちらから切り出す前に、こちらが望んでいることを言ってくれたのですから・・・これなら、安心して任せられると思いました。
そして、私達は仔猫と別れました。帰宅すると、即メールでお礼を伝えました。
翌日、猫の様子を知らせる短いメールが着きました。1週間経ちました。
何度も連絡しようとしては、「しつこいのは・・・」と思いとどまっていたのですが、1週間経ったのだから・・・の気持ちで電話しました。やはりつながりません。
仕方なくメールをすると、次の日、また短い返信がありました。そしてそれっきりになりました。その後、電話はつながりません。
不安感で一杯の私は、またメールを送りました。「今度の日曜日、仔猫の様子を見に行っていいですか?」というものでした。
日曜日は仔猫を渡して丁度3週間目になる日でした。返事はすぐ返ってきました。
しかしそれは、「仔猫は次々と3匹とも死んでしまいました。この件ではもう連絡しないで下さい」という信じられない、一番恐れていたものだったのです。私はパニックに陥りました。もう、どうしていいかわかりませんでした。
連絡するなといわれても、ほっておくこともできません。しかし、電話は通じない・・・私の携帯も家の電話も・・・。今度は主人の携帯でかけてみました。通じました。
私は詳細を教えて下さいと懇願しました。すると、後でかけ直して下さいと言われました。逃げられては、と思った私は時間指定をしてもらい、その時間に再度電話をしました。
そして電話にでたYは「今、子供が寝入った所なので、話はできません。また後日にして下さい」と一方的に電話を切りました。
私は為す術を持ちませんでした。本当に病気で急死したのだろうか?それとも詐欺?涙が止まりません。
仔猫達の為に良かれと思ってしたことが、もしかしたらあの子達に最悪の不幸を与えてしまうことになったのでは・・・私の責任です。小さな疑惑を押し隠し、自分で自分を納得させてあの子達を譲り渡した私の浅はかさ・・・
自責の念で押しつぶされそうになりながら、「真相を究明したい」と藁にもすがる思いでプラーナにメールを送りました。
そして、里親詐欺の疑いが濃厚であることを知りました。また、現在もう一家族が同一人物の被害にあっているらしいことも知りました。その後、そのもう一家族とも面談しました。彼らも、私と同じように仔猫の幸せを願って里子に出されたのでした。面談の日、なぜか私はYと電話が通じました。
そして、やはり仔猫は3匹とも次々と死んだとの言葉以外ありませんでした。お墓参りをしたいという私に、「今、遠方にいるので今日は無理です」とのことでした。けれど、それは多分ウソです。なぜなら、私の電話が繋がる前にもう一家族の方が電話をされ邪険に切られた後だったのです。その時は遠方にいるなんてこれっぽっちも匂わせていませんでしたから・・・
もしかしたら、まだ仔猫は生存してるかも・・・の一縷の望みを捨てきれない私は、数日後、「猫のお墓参りをさせてほしい」と、また電話しました。もちろん他人の携帯を使いました。そして・・・
「いい加減にして下さい。もうこの件で話すことはありません。二度と連絡しないで!!」の一言で、電話は切られてしまいました。
もう、何もできなくなりました。あの子達の声が耳から離れません。
最後に会った時に私を見ていた眼が、忘れられません。私がもっとしっかりしていたら・・・と、涙が止まらない毎日です。
里親詐欺なんて、これまで対岸の火事でした。遠い世界の出来事だったのです。でも、でも、でも・・・
3匹の仔猫の行方は、つかめません。
・優しい笑顔・当たり障りのない言葉・人間不信の現代を嘆く言葉
・家庭的な雰囲気・地味な風貌・住所等を訊いた時の淀みない即答
・こちらの望んでいることを匂わせる会話

私は、これらに乗せられたのだと思います。
こんなことは言いたくないですが、やはり簡単に人を信じてはいけないのです。信じたいけれど、それは余りに危険なことなのです。もっときちんと相手の住居を確かめるべきでした。
そして多頭里親をもっと疑うべきでした(本当に大切にしようと言うなら、3匹里親には無理がないとも言い切れません・・・)。
対面の当日受け渡しにも、問題があります(相手のいう事を確認する時間がありませんし、本当に可愛がるつもりならば、相手も真剣に考える時間が必要なはずです)。
何より、焦りが禁物なのです。焦っていては、見えているものも見えていないのと同じになってしまうのです。
私は、「これ以上不幸な仔が増えることを、少しでも止めることができれば・・・」と、この文章を書きました。
とても長いものとなってしまったので、非常に読み難いものとなってしまいましたが、もし最後までこれを読んで頂け、たとえ1匹でもこういう被害から逃れる手助けになれば・・・と願って止みません。
里親詐欺は対岸の火事じゃないんです。
避妊もせず生まれてしまった小さな命、せっかく保護されても結局行き場のない彼ら・・・
そしてそれを自らの懐を潤すために悪用する人々・・・
悲しすぎる現実だけが、横行しているのです。人間って一体何なんでしょう・・・
私は問いかけたい気持ちで一杯です。
とにかく気をつけて下さい!!
今の私は声を大にしてそう叫ぶしかありません。」




●プラーナコメント
この人物はわかっているだけで数週間の間に2組の家族から合計5匹の子猫をもらい受けていました。
そのいずれの場合も契約書は交されてはいませんでした。身分証明書などで身元確認もなされてはいません。1組の方は相手の自宅にも行かれることなく、双方の自宅からちょうど中間あたりの地域で待ち合わせし、その場で渡すという無謀なものでした。
結局、今も5匹の子猫達の安否はわかりません。読んで頂いて分かって頂けたと思います。
被害を防ぐためには、契約書を交す。身元確認をする。相手の自宅確認と自宅である証明を提示してもらう。何度も相手の自宅を訪問し、面談して信頼関係を充分築くこと。少しでも不安があれば譲渡しない。など、誰でもなく自らが自衛していくしか策はありません。
しかし、それは、かけがえのない命への責任を背負っているという自覚と愛情があれば、決して難しいことではありません。そこまでして相手に失礼ではないかと心配される方もおられるかもしれませんが、本当に相手の方が良い方で、お互いの信頼関係が築けていれば、必ず先方もなぜそうしなければならないのかということを理解して下さるはずですし、快く協力もしてくれるはずです。それを拒む相手なら譲渡すべきではないのです。

契約書の重要性」
里親詐欺の被害に遭った時、譲渡した犬猫を取り戻すため、もしくは摘発のためには、警察の手を借りるしかありません。しかし、警察は、動物のこととなると腰が重く、特に里親詐欺に関しては本当にそれが詐欺行為であるのか確証がないと言って通常ではなかなか動いてはくれません。警察に動いてもらうためには最低いくつかの条件が必要となり、まず第一の条件として、何よりも「里親になるのを前提に譲渡した」という証明となるものが必要となります。
それが契約書となるのですが、日本では署名捺印のある書面が何よりも効力を成しますので、譲渡の際に契約書を交すことは、被害防止のためにも、また、譲渡後の対処を講じるためにも、1番基本的なこととして絶対必要不可欠であるということです。
しかし、多くの被害者の方々はほとんどが契約書を交されてはいません。この事例の場合も、被害後御相談を受け、我々も警察に捜査を依頼しましたが、里親になるという前提で譲渡したことの証明となる書面、つまり契約書がないと難しいと、ここでも言われました。
では、契約書さえ交していれば、どんな場合でも警察が動いてくれて犬猫が手元に戻ってくるのかといえば、決してそうでもありません。
契約書があれば、警察は調査はしてくれます。しかし、調査してもらっても、実際に摘発が叶うかどうかはまた別です。摘発するためには、その契約を最初から守る意思がないのに、故意にだましとったという証明、つまり証拠も必要だとのことです。過去の被害例の際にも何度となく言われてきたことです。そのために何度も涙を飲んできました。この証拠が究極の難題な訳で、警察いわく、里親詐欺がどこに犬猫をやったのかの証拠、つまり、譲渡した犬猫が動物実験の施設で発見されたなどの事実がなければ捜査出来ないそうです。しかし、それが分かる位なら苦労しません。
里親詐欺業者達の取り引きの実態は全ては明らかにはなっていませんし、それを我々市民が明らかにするのはたやすいことではありませんので、どこに連れて行ったのかが分からないからこそ捜査してほしいんです。
本来ならば、証拠がないから動かない、ではなく、証拠を探すのが警察の仕事のはずなのですが、里親詐欺という犯罪がまだまだ世間に認知されていないということと、動物を守るための法律が整備されていないため、法がない以上は、そこに犯罪性があると確信が持てなければ残念ながら警察も動くに動けないといった所が現状であると思います。
契約書を交すことは不可欠です。交していれば、警察が動いてくれ、場合によっては犯罪として摘発・逮捕も叶います。
しかし、交していなければ泣き寝入りせざるを得ない場合も多い。しかし、過信も出来ない。
「契約書さえ交していれば大丈夫」では決してないということです。つまり、最低限のことの1つとして契約書を交す、ということであり、結局は自らが被害に遭わないよう他の防衛方法と合わせて総合的に自衛していくしかないのです。

「里親詐欺被害の法的対処の壁」
しかし、実は、弁護士の見解では例え、書面がなくとも、口頭であったとしても詐欺というのは成立するそうですので、場合によっては状況証拠だけでも告訴することは可能だそうです。
しかし、警察が動いてくれない場合は、刑事事件としてではなく、最初はまず民事で、ということになります。
しかし、民事の場合は裁判を起こすために費用が必要ですし、何度も裁判に足を運ぶ必要も出てきます。そして何よりも原告VS被告として里親詐欺らと直接対決する訳ですから、残念なことに、そこまでしてでもという被害者の方は、なかなか現状ではいらっしゃいません。
気持ちはあっても、犯罪者と争うことの不安がネックになっている場合が多く、結局、結果として泣き寝入りとなってしまっているのが今の現状だと言っていいでしょう。そのため民事による告発がなかなか実現しないのです。
弁護士も里親詐欺は犯罪であると認めておられます。犯罪である以上は刑罰を与えるべきですし、犯罪の被害者でありながら泣き寝入りをしなければならないのでは納得がいきません。
民事で争うという方法は、警察にも動いてもらえない場合もあるという今の現状を考えれば1つの選択肢ではありますが、やはり、犯罪ならば犯罪として、民事ではなく刑事事件として対処していくことが望まれます。
また、そうでなければ、いつまでも摘発は至難の業のまま被害を抑制していくことにも繋がりません。こういったことからも、きちんと警察に対処してもらうために、契約書を交すことを始め、自衛と証拠を残すための努力がいかに重要かお分かり頂けると思います。

「被害を防ぐために」
被害防止のためのマニュアルは当会HPで詳しく述べています。
保護活動の経験のない一般の方でもこれに則って里親探しをすることである程度の被害を防ぐことが出来ます。里親探しをなさる方は、必ず御一読の上、参考にして頂きたいと思います。
また、契約書も自由にプリントアウトして使って頂けるようにしています。契約書なら何でもいいという訳ではありません。
効力のない形だけの契約書を使用しても意味はありません。頭の働く里親詐欺は効力のない契約書であれば進んでサインもしてきます。当会の契約書は相談として寄せられた数々の被害例や不審者達の手口を元に、これらを防御出来るよう、その都度改訂を重ねているものであり、被害防止の観点からも、そして譲渡後のトラブルの際にも取り戻すことが出来るように、法的処置をとれるように、と作成されております。
まだまだ完璧ではありませんが、現時点では最も効力のある内容となっているのではないかと思います。
中には、当会の契約書をベースに独自に作り直して使われている方もおられるようですが、この契約書は全ての内容が意味を持ち、一文一句が不可欠です。
独自の判断で勝手に削ってしまわれた場合、効力が欠ける恐れもありますので契約書は出来ればそのままプリントアウトしてお使い下さい。

以上、プラーナの見解を述べさせて頂きました。
繰り返しますが、防衛のため我々がお勧めしている事柄、それらの何か1つ「契約書を交したから」「相手の自宅に行ったから」大丈夫ではなく、それらを総合的に行ってこそ始めてであることを決してお忘れにならないで下さい。そして、それらのマニュアルも又、全てではありません。只の最低限の策でしかないのです。それだけに頼り、過信してしまうことも危険です。
譲渡はお互いの信頼に基き行われるものです。充分時間をかけて話し合い、直接会い、まず何よりも信頼関係を築くことの出来る相手であることが前提であることを忘れないようにして下さい。しかし、だからと言って、信頼関係だけを過信することももっと危険です。里親詐欺は最初からだますつもりで貴方に接してくるのです。いい人を演じます。それを見極めるには経験や実績のある活動家でなければたやすくない場合も多々あります。
ですから、まず信頼関係、そして契約書を始めとする防御のためのマニュアル、双方共が被害防止のためには必要なのです。
最終的にはあなたの命に対する責任と愛情、そして譲渡する側、される側にどれだけ信頼関係が築けるかが重要であることを忘れないでいて下さい。

「せっかく救おうとしている命。安易な譲渡は自らその子の運命を暗闇につき落とすようなものです。
その子の運命を背負っているのはあなたです。焦らないで・・・
必ずその子の運命の人がいるのだから!」
『命を守りつなぐのは あなた です。』



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