プラーナ方式、里親探しにおける騙しとりを防ぐ防衛マニュアル
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阪神・淡路大震災後、阪神間では、猫捕りや犬猫の里親になるふりをして犬猫を騙しとり、実験動物取り扱い業者や三味線関係の皮革業者に流す、いわゆる「犬猫の騙しとり」が多発しました。 これら「騙しとり」の行為は、大震災時に限らず、過去から現在まで、また地域を問わず、脈々と行なわれております。 プラーナでは、騙しとりの被害にあった方達のお話しをお聞きし、被害時の状況を元に、独自に騙しとりから犬猫を守るための「里親探しマニュアル」を作り、これを「プラーナ方式」と名付け、関係機関へアドバイスし、指導に努めて参りました。(里親探しを行なっている一部の行政機関にも情報提供しています。) プラーナ方式を始め、このようなシステムは、現在全国的に浸透し、里親探しの基本となりつつあります。騙しとりだけでなく最近急増している虐待者や無責任な人間への防御にも有効ですので、里親探しをなさる方は参考になさって下さい。(尚、騙しとりの業者は全国的に存在します。) ![]() 幸せにしてあげるどころか残酷にも自ら不幸にしてしまう事になってしまうのです。 そんな哀しい結果にならないよう、里親探しをされる時は、その子の運命を背負っているつもりで慎重に本当に良い里親さんを最後まで責任を持って選んであげて下さい。 また、里親探しは、どこかでその子を待っている方とその子に繋がっている縁を結ぶという神聖なる行為である事をしっかり心に留めて飼い主さんも犬猫もお互いが幸せになれるような環境を選んであげて欲しいと思います。 (「騙しとり」についての詳しい情報は、「動物達の現状」の中の「猫とりに御用心」の欄をご覧下さい。) |
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プラーナ方式、里親探しにおける騙しとり・虐待者を防ぐ基本防衛マニュアル
【1】 連絡を受けたら ●必ず実際に相手と直接話しをして下さい。 ●連絡を受けたらまず、相手の名前、住所、自宅の電話番号を聞いて下さい。 ・出来れば、勤めている人には職場の電話番号と勤め先の名前も聞いてください。緊急の場合の連絡先を知りたいからといって聞いても良いでしょう。 ・後日、住所と勤め先が事実かどうかの確認を忘れずに行ないます。 ・未成年の場合は必ず親にかわってもらい親と直接話しをして下さい。未成年に限らず親と同居している場合もそうです。 ・それから自宅に電話が無いからといって携帯電話の番号しか言わない人間には要注意です。たとえその人が「(犬)猫とり(騙しとり業者)」じゃなくても、もし何らかのトラブルが起きた時、連絡がつきにくいという欠点がありますので携帯電話のみの人は避けた方がいいでしょう。 ●次に、譲渡の際に契約書へのサインと身分証明書の提示を頂く事を相手に告げてください。 身分証明書は現住所が確認出来る、写真入りのもの(免許書、パスポート)と社員証。 あわせて、ここ3ヵ月程の公共料金領収書なども提示してもらうようにします。 (重ねての住所確認) これを告げた段階で、大概の騙しとり業者は断わってきます。 *最近は契約書へのサインや身分証明書の提示の求めに対し、電話の時点では了承する「(犬)猫とり」も居ますので、口約束だけで信じ込んでしまわないよう、注意して下さい。 ●身分証明書の提示を了承してもらったら、生活環境や飼育経験、また飼育にあたっての心がまえなどを質問します。その上で不審な点は無いか、責任の持てる方か、ある程度の見極めをして下さい。 質問事項等を書いた、里親希望者登録用紙を作成し、申し込みの際に記入してもらっても良いと思います。登録用紙の内容に関しては「登録用紙見本」の項目をご参照下さい。里親探しに際して必要最低限チェックしておきたい質問事項が見本として提示してあります。 ●実際にお会いする前に何度かお電話でのやりとりを重ねて下さい。 そこでお相手の方と信頼関係を築くことが出来るかどうかを見極めることが大切です。 ●お相手が信頼関係を築くことの出来る方かどうか判断するにあたっては、お相手のことを好きになれるかどうか、プライベートでもお友達になりたいなぁと思えるような方かどうか、御自身の感覚も見極めには重要です。 【2】 実際話してみての印象や質問事項、登録の際の内容を踏まえ、検討します。 とりあえず問題なければ、お見合いの日時を決めます。 お見合いの日には猫を渡さないで下さい。あくまでもお見合いのみに徹して下さい。 先方にも前もって、その点を了承してもらいます。 【3】 お見合い・・・必ず相手の家に犬猫を見せに行って下さい。 ●話しが進み、お見合いすることになったら、相手の自宅まで犬猫を連れていきます。 無理な場合は写真を持って行ってもいいと思います。 「(犬)猫とり」は自宅に来られるのを嫌がります。ですから今すぐ欲しいとか取りに行きますと言ってきます。 面倒でも必ず先方の家まで足を運んで下さい。住所の確認やもしもの事があった時の場所確認にもなりますし、犬猫を飼うのに適した環境かどうかを判断することも出来ます。 猫の場合、猫を連れていけば家の中へ上がることもできるので、必ず室内に入れてもらい、室内の様子や暮らしぶりも見て下さい。 マンションなどの集合住宅の場合特に、部屋まで行き室内に入る様にして下さい。 不衛生だったり常に扉を開放していて猫が外へ出て行ってしまうような家は猫とりじゃなくてもやめた方がいいです。(猫の場合、室内飼いを必ずお願いして下さい。) また、最近実際にあった被害例で、自宅マンションまで来させてマンションの下で受け取りをした「(犬)猫とり」がいました。自宅まで行けるから大丈夫だろうと安心させるためワザと自宅マンションまで来させ、事前に近くまで来たら連絡するよう伝えておき連絡があったら「下りていきますから下で待っていて下さい」と言って自室に来させないようにしたと思われます。一個建ての持ち家の場合もそうですが、マンションの場合は特に自室を確認し、部屋にも入るようにして下さい。 ●見てもらう際は家族全員がそろっている時にします。家族の中にあきらかに動物嫌いの人や反対している人がいる場合はたとえ騙しとりでなくても後々トラブルが起きやすいです。そしてまた家族ぐるみで騙しとりをやっている場合があるので、犬猫を飼育するのにふさわしい家庭環境かどうかしっかり見極めて下さい。 【4】 見せに行った当日には絶対渡さないで下さい。 ●お見合いだけに徹するーーー先にも述べたように、最初から、「こちらも検討させて頂きたいので、お見合いの日にはお渡しはしません。」とはっきり告げておくように。その点、先方にも前持ってしっかり了承してもらって下さい。 例えば、「今日はとりあえず見ていただくだけで気にいってくださいましたら後日、日を改めてこの子の使っていた食器やトイレの箱やおもちゃといっしょにお届けします。」とか、「今病院で健康検査してもらってる最中なので、2、3日後に」とかの理由をつけてもいいかもしれません。 ☆見せにいった当日は、ちょっと不審な点があっても見過ごしてしまいがちなので、冷静に見つめ直す時間を作るためにも後日届けることにして当日に渡さない方が良いのです。 面倒臭くなってその場で渡してしまったばっかりに騙し取られてしまったケースが多いので必ず守って下さい。☆ ●相手には譲渡の日までに、受け入れの準備を整えて頂くようお願いします。 新しい環境に馴染むまで1〜2週間は今までと同じものを与えた方が良い場合もありますので、その子が今まで食べていたものと同じ餌や、猫の場合同じトイレの素材(砂とかシーツ)なども用意してもらっておくと良いでしょう。 【5】 犬猫を連れ帰り、飼育環境を実際見てどうだったか、最終的に検討します。 不審に感じる点はありませんでしたか?責任を持った考え方をしてらっしゃいましたか? 人間的に好きになれる人でしたか? 少しでも不安を感じる点があれば、やめる。その勇気も必要です。 問題なければ譲渡の日を決めます。 【6】 譲渡の日・・・この時も必ず先方の家まで行って下さい。 ●ちゃんと相手に受け入れ体制が出来ているかも重要な判断材料になります。 (トイレ、餌器、犬の場合首輪や迷子札、散歩紐など) 【7】 譲渡・・・お渡しする時に契約書を取って下さい。身分証明書の提示を頂き、記念写真も撮って下さい。 ●住所確認の出来る写真入りの身分証明書(免許証、パスポートなど)と社員証を提示してもらいます。 あわせて、ここ3ヵ月程の公共料金領収書なども提示してもらうようにします。 (重ねての住所確認) 免許証とパスポートを持っていない場合は健康保健証とここ3か月程の公共料金領収書を提示してもらいます。 *身分証明書を提示してもらうのは、身元確認、住所確認の他、計画的にだましとるために仲間と協力しあい友達や仲間の家を使ったり、騙しとりのため業者が専用に借りている部屋や騙しとった犬猫を一時的に置いておく部屋を自分の家と偽る場合があるのでその防止のためです。「(犬)猫とり」は証明書の提示を拒みます。 ●次に一番重要な契約書ですが、証拠を残すためにこれは絶対必要なのです。 「(犬)猫とり」だけでなく虐待者や無責任な人間にも有効です。 もし後日トラブルが起こった時に奪い返すためには「飼い主としてめざましくふさわしくないと思われた時には当方から返還を求められることがある。その場合は応じなければならない」と明記しておくとよいです。 契約書は必ず二組作って、一組は自分の控えに、もう一組は相手の控えにします。相手には二組共に直筆でサインしてもらって下さい。当日の日付とあなたの名前を必ず文章の冒頭に記載して下さい。 また必ず、契約書の冒頭に「契約書」の文字を入れて下さい。契約は誓約より、法的に効力を持ちます。 サインしてもらう際、声に出して読んであげて内容を理解いただいた上で「充分御理解の上サインして下さい。そんなことは100%ないと思いますが、もしあなたがこの契約書に反する行為を行った時には訴えられますので」と一言そえてあげるといいでしょう。 ●お試し(テスト)期間を設けます。一般的には2週間〜1ヵ月程が適当でしょう。 その間の所有権はあなたにあることをはっきり告知して下さい。契約書にもその点を明記しておきます。 (*お試し期間とは、「譲渡後」に先住動物や家族との相性を見て頂いたり、ちゃんと飼育していけるか、双方が見極めるために設けるテスト飼育のための期間です。譲渡した後もお試し期間の間は所有権はあなたにあります。 「(犬)猫とり」は大概譲渡後すぐに犬猫を業者に渡します。あなたに所有権のある犬猫を勝手にどこかにやったり殺したりすることは、あなたの所有権を侵害することになり、民法上の不法行為、場合によっては、詐欺にあたります。契約書には必ず、お試し期間を設ける事、その期間、またその間の所有権の所在があなたにあることを忘れずに明記して下さい。) また、犬猫を相手に渡した瞬間から、相手にその子の運命を託すことになってしまう事を決して忘れないで下さい。 自分の手元から離し相手にお渡しをする時、たとえそれがとりあえずのお試し期間で正式譲渡では無いとしても、「契約書を交して始めて相手に渡す」ようにして下さい。 お試し期間は譲渡前に設けるのではなく、譲渡後に設けるようにして下さい。お試し期間であれ譲渡であれ、相手に渡す時に契約書を交す、これを必ず厳守してください。 ※ここで言うお試し期間は、里親になるのを検討してもらうためにあるのではありません。あくまで里親になって頂いた後、こちらがその里親さんが飼育者としてふさわしいかどうかを見させて頂くのと、譲渡後先方の家族と動物の関係がうまくいかず、動物と人間に不幸な結果をもたらすのを事前に防ぐため、また「(犬)猫とり」や虐待者、無責任な人間から犬猫を守るために設けるものです。 ●譲渡後、定期的に写真報告をしてもらうよう、契約書に記載しておきましょう。 *契約書については「契約書見本」を御参考になさって下さい。 ●最後に必ず記念写真をとります。これは譲渡の証拠写真です。 「(犬)猫とり」に騙しとられた時、犬猫を返してもらうため、もしくは、相手を訴えるために警察に動いてもらうには譲渡の証拠が必要です。契約書や写真はそのための証拠にも出来ます。 また、段々巧妙になる里親詐欺の手口に対処するため、上記HPで御説明しているマニュアルを基本にしてさらにプラーナでは『里親適性試験期間』の導入をお勧めしています。 1、書類審査もしくは電話審査 2、自宅環境審査 3、問題なければ、仮譲渡の日を決めます。 4、仮譲渡ー従来通り契約書を交し、身分証明書を提示してもらいます。証拠写真も撮影。 その上で、その日から『里親適性試験期間』に入ります。 『里親適性試験期間』とは、 期間を決めて(プラーナでは基本的には1〜2ヶ月。場合と状況に応じこの期間を変えたりもしています。)その間は、その方が里親としてふさわしいかどうかを見させて頂く試験期間とします。 その間は猫(犬)を預けている状態です。(所有権はこちらにあります)期間終了後に最終的な審査を行ない、動物が正常に成長しているか、飼い主になついているか、飼育能力を認められるか、不審な点はないか、約束事を守っているか、守ってもらえそうか、それらを中心に見極めます。問題なければ、正式譲渡です。 しかし、その後も問題があれば返還の要求が出来ると契約書に明記しておき、その点を里親さんに再度確認させます。 そして正式譲渡から1ヶ月、3ヶ月、半年、1年後に写真報告を義務つけます。写真には必ず、当日の朝刊を犬猫といっしょに入れて頂き、間違いなく当日に撮られたものであることが確認出来るようにします。 また、未然の防止策として、飼い主の責任においてワクチン代と不妊手術代等を譲渡時に里親に負担させるという方法もあります。 すでにワクチン等行なっている場合は、仮譲渡の際(相手に犬猫を託す時です。正式譲渡であろうが仮であろうが、自分の手元から離す時には必ず契約書を交し身分証明書を確認、写真撮影を行ないます。) 契約書を交す時にワクチン、不妊手術の証明書と領収書と引き替えにその費用をお支払い頂くことを、最初の時点から告げておくのです。 もしくは、まだ手術が行なえないような場合などは、手術代を手術が出来る時まで預り保証金としてこちらに預けさせます。 手術後証明書を提出させ、それと引き替えに預かっていた費用を里親さんに返還します。 里親詐欺はお金のためにやる訳ですから、彼等にとって譲渡にお金がかかるのは困る訳です。 赤字になってまで危険を犯すことは基本的にはしないと思われます。但し、例外もありますし、虐待者や一部の繁殖業者、無責任な飼い主には通じませんので注意してください。これを最初に先方にもちかけたとき、快く了承してくださるかたなら良いですが、お金がかかることを聞き嫌がる人は里親詐欺などではなくてもやめるべきです。 なぜなら動物を迎えるには当然お金もかかるのです。 その余裕も覚悟もない人は動物を飼う能力もないはずですから。今後も保護していかなければならない子がいる場合は、「今後も不幸な子の救済を続けていくために、里親になられる方には飼い主の責任においてその子の救済のためかかった費用を御負担頂くことを御理解下さい」と言っても良いと思います。 この預かり金の策は被害を防ぐいくつかの防止策の1つとして、また、相手を見極める1つの方法として、上手に利用すれば良いのではないかと思います。 以上、御参考にして頂きたいと思います。
【8】 お試し期間中 定期的に連絡をとったり足を運んだりして犬猫の様子を確認してください。一般的な里親さんにはいろいろ飼育のアドバイスなどをしてあげると良いと思います。万が一の場合は一刻も早く警察や愛護団体に相談するようにして下さい。 【9】 注意点 「(犬)猫とり」は、若い者から年配者まで、老若男女を問わずおり、子供連れや家族ぐるみの者も居ます。(赤ん坊を連れた若い女性、小さい子供にこの猫がいいとワザとせがませる父親、自宅に犬猫を実際にペットとして飼っていて安心させるためにわざとペットの犬猫を見せる、など) また騙しとる方法も段々手が込んできています。 以前、こんな被害例がありました。 「最近長年飼っていた猫が死んで、どうにも寂しいので、猫をもらいたい」と中年女性から電話があり、保護活動されている方が、里親探しをしている子猫を連れて行ったそうです。 家に行くと、丁重にもてなされた上、「これが死んだ猫です」と写真を見せられました。 部屋の壁にはその猫の遺影らしきものも飾られていたそうです。 思い出話しを涙ながら語るその女性を見て、保護家の方は「こんなに猫を大切に思って下さる方なら間違いない」と、そのまま猫を置いて帰ることにしました。 しかし家に戻って、よくよく考えている内にふっと不安になり、女性に電話をかけてみたら、もう猫はいないと言われ、その後、一切連絡もつかなくなりました。 後で、この女性が有名な猫とりであったことが分かったそうです。勿論猫が死んだ話しもデタラメでしょうし、遺影も騙しとりのために仕組まれた小道具でした。当然ながらその子猫が戻ってくることもありませんでした。お金のためなら涙を流しての演技も朝飯前ということなのでしょう。このように猫とりは実に巧妙な手を使ってくることがあります。人を疑わなければならないのは辛いことですが、里親探しにおいては常にこのような危険が隣り合せに潜んでいることを忘れないで欲しいと思います。 また、最近は自宅に来させたり、契約書のサインにも応じるふりをする「(犬)猫とり」も居ます。実際サインする場合もあるかもしれません。 ですから、「自宅にも来させるし契約書のサインにも応じてくれるようだから、大丈夫だろう」と安易に信用してしまわずに、この里親探しのマニュアルを必ず守るだけでなく、本当にそれ以上に細心の注意を払って里親探しをするようにして下さい。このマニュアルはあくまでも騙しとりや虐待者、無責任な人間の被害を防ぐため最低でもこれだけは守って欲しいというものであり、最終的にはあなたの勘と判断が全てを左右することになるのです。それを決して忘れないで頂きたいと思います。 また、「(犬)猫とり」業者は関西、特に京阪神地区に多いため、関西の団体、活動家の方は認識も高く、日常的に里親探しの場では防衛のための注意を払っていますが、関西に比べ他地域では全体的に認識が甘い部分も見受けられます。しかしこのような業者は全国どこでもいますし、虐待者や無責任な飼い主の存在に地域による差はありません。また関西の業者が関東にまでその魔の手を伸ばしていた例も実際多々あります。 被害の報告があまり耳に入ってこなかったり、また現状に対する知識が無かったり、知らなかったりすると無防備になってしまう場合もあるでしょうが、逆に被害例を知らないため実際だましとられていても、その被害に気付かない事だってあります。 繰り返し言います。騙しとり業者や虐待者などは、数の多少はあれども、全国どこにでも存在しています。それに気付かず騙しとられている場合も多々あるのです。 「私の地域は大丈夫」、「そこまでする必要あるのかしら?」そう思われる方もいるかもしれませんが、我々の作ったこのマニュアルは、「(犬)猫とり」業者の“メッカ”と言われる地で実際業者や虐待者から犬猫を守り救済活動を行なってきた「現場の者」ゆえに作り得たものです。多い時は情報誌に載せた里親広告を見て電話をしてくる者の約半数が業者と思われることもある、そんな現場で活動してきた我々だからこそ伝えられる事でもあり、また同時に我々だからこそ伝えていかなければならないのだとも思っています。 全国からこのような業者や虐待者の被害に遭い不幸になる動物を1匹でも減らしたい、そんな痛烈な願いから、我々はこのマニュアルを作りました。そして不幸になる子を作らないために皆様にも現状を知って頂きたいし、その命を守るために細心の注意を払って頂きたいと心から祈っているのです。 どうか、それを御理解の上、里親探しにこのマニュアルを御活用頂きたいと思っております。
※これは猫だけでなく犬の場合も同じです。 マニュアルだけに固執して、互いの信頼関係を結ぶことがおろそかになってしまっては 里親さんとの今後の良き関係にも支障が出てきます。 まずは信頼関係を築くことが必要であり、その上でのマニュアルであり契約書であることを御理解頂きたいと思います。 |
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プラーナで使用する他、多方面へ提供している契約書です。参考になさって下さい。 プリントアウトしてお使いになっても差し障りありませんが、その場合は内容の改竄(かいざん)、加筆、削除などは固くお断りします。(知的所有権はプラーナに帰属します) 契約書は必ず2部作って下さい。1部を里親さんの控えに、1部をそちらの控えにします。 契約書冒頭部分は譲渡する方が記載します。里親さんにサインしていただく箇所は最後です。 2部共に双方記載をして下さい。 |
![]() ![]() (最終更新箇所・・・家族の同意が必要であることを追記) |
当会では里親探し活動を行っている皆様方に当会作成の譲渡契約書をご使用頂くことをお勧めしております。その理由を譲渡トラブルの事例よりご説明いたします。
★譲渡トラブルの事例より 『譲渡したネコが里親さまのお宅から脱走し、一日も早く保護したいと思うのですが、里親さまからは自分たちでできる範囲でやってみますと言われ、どのように進めたらいいものかと思案しています。 今朝、里親さまからの連絡を受けてすぐに、捕獲器とマタタビを持って、一時間程の距離にある里親さまのお宅に向かいました。 脱走したお庭に捕獲器を設置し、使い方をお伝えして、一旦戻りました。 チラシなどを準備して再度お伺いすることを申し出ましたが、里親さんからはわざわざお金と時間をかけて来ていただくのは申し訳ないと言われ、暫くはこちらでできることをやりますと言われてしまいました。 チラシのポスティングとポスターを貼ることをご提案しましたが、残念ながら却下されてしまいました。 力を合わせて、一日も早く保護したいと思いますが、かえって負担になるご様子でした。 土曜日に脱走したそうなので、とても心配です。 里親さまに積極的に取り組んでいただけないようでしたら、こちらが主導権を持って捜索しようかと思います。 保護した後ですが、こちらで引き取ることも検討しています。 何かアドバイスなどいただけたら、ありがたいです。』 当会が皆様方にご使用をお勧めしている当会作成の契約書では譲渡後数ヶ月は里親適性試験期間となり、里親さんが里親に適しているか、飼育環境がその子に適しているか、等をこちらが試験的に見させて頂く期間であり、あくまで動物を預かってもらっている状態となり、所有権はこちらにあります。 試験期間が過ぎても、約束が守られていない場合や問題が発生した場合、また、譲渡における信頼関係が損なわれた場合、返還要求に応じることを求めています。 この契約書を交わしておれば今回の事例のような問題にも対処が出来ます。 試験期間であればこちらに所有権があるのですから、預かってもらっている子を先方の不注意で逃がされてしまったことに責任の追及が出来ますし、こちらに所有権のある動物をこちらが主導して捜索することも先方に捜索の指示をして動かせることも当然出来る訳です。 試験期間終了後であっても然りです。 当会作成の契約書は里親詐欺だけでなく、このように様々な譲渡トラブルに対応できるよう考慮して作成しております。 この契約書を元に皆様が独自に契約書を作成されておられる場合もありますが、その多くは契約書の内容が厳しいと勝手に判断されて削られたりされておられるようです。 しかし当会ホームページでも明記しておりますように一言一句意味があり、勝手に内容を変えたり独自の判断で改ざんされることは決してお勧め出来ません。 今回どのような契約書を交わされての譲渡だったのかわかりませんが、もしその契約書が当会作成のものではない場合、契約書の内容によって状況が変わってきます。 所有権のことや返還要求のことが羅列されておれば、先に述べたように、契約書に基づき先方への指導を行使すればよい訳です。 しかしそうでなければ譲渡した後は特別な記載がない限り、所有権は里親に生じます。 極端な話、所有権のある動物を逃がそうが誰かに渡そうが所有権のある者の自由ということになってさえしまいます。 そこに行方不明の捜索を主導させろと主張しても、里親に否定されるとそれ以上のことは出来ないかもしれません。 いかに契約書が大事かおわかり頂けると思います。 もし今回の譲渡が後者なら後は心情に訴えるより他はありません。 どれだけ自分達にも思い入れがあるかを訴え、先方にごり押しで納得、了承させるしかないでしょう。 いずれにしても譲渡における信頼関係がこの先も築けるとは思いません。 望ましい譲渡ではなかったと判断するしかないのではないでしょうか。 譲渡を白紙に戻すべきだと思いますが、そこでも契約書がきちんとそこを押さえていない限り、もめるであろうことが予測されます。 毅然と対処するしか動物を守ることは出来ないでしょう。 契約書は何でもいい訳ではありません。 当会作成契約書も勿論完璧ではありませんが、重ねがさね、このような事例をはじめ様々なトラブルへの対処を考慮して作成しております。 どうか勝手に内容を変えずそのままご利用頂きますことをお勧め致します。 |
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ーーー現在プラーナで里親希望の方の登録の際に使用している登録書を元に、登録用紙の見本を作りました。御参考になさって下さい。(自由に御活用頂いて差し障りありません。)ーーー ※この質問事項は、里親希望者の方に送るのではなく、お電話で会話をしながらそれとなく質問し、この用紙に書き留めるようにして御使用下さい。 |
プリントアウト入り口はこちら |
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【1】 未成年の方や若い方は御両親と直接お話しするようにしてください。一緒に住んでいる場合も住んでいない場合も、譲渡の契約は保護者の方とも行なうようにして下さい。 基本的には、お若い方は、就職、転勤、結婚、などと、環境が変わりやすいものです。 出来るならば生活基盤が出来、安定する年齢までは動物の飼育は控えてもらうべきです。 【2】 1人暮らしの方は留守にする時間が長いので不安もあります。また転勤や結婚、引っ越しなど状況が変わりやすいので、充分生活が安定してから里親になることをお考え頂きたいと思います。 【3】 同棲中のカップルの場合も1人暮らしの方の場合と同じです。 【4】 マンションや集合住宅にお住まいの方は、マンションで動物の飼育が正式に認められているか、マンションの規約書などで確認をして下さい。万一トラブルになった時、最悪の場合は処分を迫られる事もありますのでそんな事態を防ぐためにも、たとえマンションでの飼育が認められていても、飼育マナーをきちんと守れる方をしっかり見極めて下さい。 【5】 高齢者の方の場合、犬や猫は長くて20年位は生きますので、慎重にその点もよく考慮して下さい。 子犬・子猫や若年齢の犬猫の譲渡は望ましくありません。若い人に比べ怪我や病気のため飼育や世話が出来なくなる確立も高いです。どうしてもという場合には、万一のため、飼育できなくなった場合の引き取り先を確認しておきましょう。引き取り先は御家族であることが望ましいです。契約も御本人と御家族の双方と交すようにして下さい。(保証人をたてる)またある程度落ち着いた年齢になった成犬や成猫であれば、世話も子犬や子猫ほど大変ではありませんので、そういった意味でも高齢者の方に里親になって頂く場合は成犬や成猫の方が望ましいかもしれません。力の強い犬や大きい犬はやめた方が良いでしょう。 【6】 小さいお子さんがいらっしゃる家庭は、お子さんがまだ犬猫に対する力加減や接し方を分かっていない場合、犬猫にとって大変なストレスになる事があります。また、子犬子猫も同じように力加減を知らないので、逆に子供を傷つけてしまう場合もあります。またお子さんに動物に対するアレルギーが出てしまうこともあります。子供の情緒面の成育に動物の飼育は良い影響を与えることも多いですが、その反面、そういったトラブルで飼育放棄されるケースが多いので注意が必要です。 【7】 すでに何か動物を飼っているお宅の場合も先住犬猫との相性が問題になってきます。たとえばどちらかが狩猟本能や攻撃性の強い犬もしくは犬種の場合、うまくいったと思っていてもある日突然何かのきっかけで事故が起こるケースが多いです。出来れば、同じ種類か同じ位の大きさのもの同士の方が望ましいでしょう。相性を見るためにはお試し期間を設け、双方で相談しあう状態を作るべきです。 ![]() 【8】 犬は集団の一員として生活を営む動物です。ですから番犬として飼われるお宅より、家族の一員として家族と同じスペースで飼育して下さる御家庭の方が望ましいです。 (よくある1匹でポツンと庭で繋がれて飼われている状態は、犬にとって家族という群れから排除された状態に感じられ、そういう飼い方は精神的な虐待になると言われます。 動物を隷属するものとして捉えるのではなく、動物と人間が家族として、また、対等なパートナーとして共に生きていける世を目指し、番犬のような飼い方を我々は少しずつ日本から減らしていきたいと考えています。) それがどうしても無理で外で飼う場合でも冬や夜は家の中に入れる事が出来るお宅を犬のためにも選ぶべきです。家が汚れるからとか、狭いからと言われる方は、犬を家族の一員というより、ただの番犬にしか思っていない方が多いです。 犬は置物ではありません。感情ある生き物です。それを理解してもらえそうにないお宅には犬を譲渡すべきではありません。 【9】 猫の場合、室内飼いをして下さるお宅を選んで下さい。環境等にもよりますが、都会部では特に猫は完全室内飼いが望ましいです。外に出す事によって隣近所のお庭を汚してトラブルになるケースが多い他、それが、地域の猫排除の動きに繋がったり、事故、喧嘩による伝染病への感染、毒物をまかれたり、「猫とり」業者の連れ去り、虐待、など、現代社会は猫にとって生きにくく危険も多い環境です。 また外に出す事により起こる近隣とのトラブルなどが社会問題になっている以上、飼い主も飼い猫の行動に責任を持つことを考えなければ、動物との共生社会は実現出来にくくなります。 本来猫にとって自由に外に出られる生活の方が幸せで生態にもそぐうでしょうが、残念ながら現代という時代はそれもままならぬようになってしまいました。 時代が猫の生態をも歪めてしまっているようで、それは今後私達も考えていかなければならない問題ではありますが、里親探しにおいては、完全室内飼いをして頂く事がやはり望ましいでしょう。また、子供の時から人間の手で育てられ外の世界を知らない飼い猫は、本来の猫としての本能を人間との生活への適応の中で失いつつあることもあります。1度飼い始めたら外に出すという事が危険と背中合わせになる可能性も少なからずある事も理解しておく必要があるでしょう。 【10】 全国の動物管理センターで殺処分される犬猫の内、約8割が無責任な人間に安易に繁殖させられた結果により持ち込まれた子犬子猫です。自分自身が飼い犬飼い猫から産まれる生命すべてに責任が持てず無責任に捨てたり命を奪う選択をしなければならないのであれば始めから不妊手術を行なうべきです。 里親になる方にもその自覚を持って頂き、その時の感情だけの無責任な考えで安易な繁殖を考えている人には譲渡するべきではありません。 【11】 携帯電話しか電話がない方も譲渡する時は避けた方が良いです。電話機を変えれば電話番号が変わってしまうこともありますし、たとえ住まいが分かっていても引っ越ししてしまえば、その後連絡が付かなくなる可能性もあります。猫や犬の騙しとりの被害を防ぐ意味でも携帯のみの人は絶対にやめて下さい。こんな場合の対処方法としては、1人暮らしの場合と同じように御実家の住所を確認する事と、御家族の方に保証人になってもらい、双方と契約を交す事です。保証人になる御家族の方が持ち家に住んでいらっしゃる事が望ましいです。 【12】 必ず相手の家まで行って住所の確認と生活環境のチェックをして下さい。その方のライフスタイルや生活習慣も視野に入れ、その環境が犬猫にあうかどうかも考慮して下さい。 【13】 純血種を希望される方の中には、ペットショップで買うと高いから、里親探しをしている純血の犬・猫を無料でもらおう、と安易な考えをしている人もいます。 繁殖に利用するために里親希望を申し出てくる人間や業者もいます。 また、「雑種は連れていてもかっこよくない」と、見てくれの良さから純血種にこだわる人も居ます。 全ての方がそうだという訳ではありませんが、このように動物を単なるアクセサリーか見栄の道具のように思っているように見受けられる人には譲渡すべきではありません。 しかし、その一方で純血種を選ぶことによる利点もあります。例えば、猫や小型犬などの先住の動物がいる場合、本質的に攻撃性の強い犬などは避けた方が良いと思いますが、雑種はどんな血が混じっているかわからない場合が多いため、その犬の隠れた本質が前もって分かりにくいというリスクも否定出来ません。 純血種であるならばある程度その犬の特性が分かりますので(勿論、これも個体差があり全てそうであるとは言えません。)、自分達の生活環境や飼育条件などを充分考慮した結果の選択であるならば、むしろ責任を持った考えだと評価出来ます。 いずれにしろ、雑種であろうが純血であろうが、不幸な動物達を救うための里親探しである事を真に理解して、その子自身を心から愛し迎かえ入れて下さる方を選びたいものです。 【14】 犬・猫の騙しとりの被害に遭わないよう、くれぐれも注意してください。 以前、こんな被害例がありました。 「最近長年飼っていた猫が死んで、どうにも寂しいので、猫をもらいたい」と中年女性から電話があり、保護活動されている方が、里親探しをしている子猫を連れて行ったそうです。 家に行くと、丁重にもてなされた上、「これが死んだ猫です」と写真を見せられました。 部屋の壁にはその猫の遺影らしきものも飾られていたそうです。 思い出話しを涙ながら語るその女性を見て、保護家の方は「こんなに猫を大切に思って下さる方なら間違いない」と、そのまま猫を置いて帰ることにしました。 しかし家に戻って、よくよく考えている内にふっと不安になり、女性に電話をかけてみたら、もう猫はいないと言われ、その後、一切連絡もつかなくなりました。 後で、この女性が有名な猫とりであったことが分かったそうです。勿論猫が死んだ話しもデタラメでしょうし、遺影も騙しとりのために仕組まれた小道具でした。当然ながらその子猫が戻ってくることもありませんでした。お金のためなら涙を流しての演技も朝飯前ということなのでしょう。このように猫とりは実に巧妙な手を使ってくることがあります。人を疑わなければならないのは辛いことですが、里親探しにおいては常にこのような危険が隣り合せに潜んでいることを忘れないで欲しいと思います。 プラーナの里親探しのシステムである程度このような被害を防ぐことが出来ますので、面倒でも徹底するように心がけて、くれぐれも慎重な対応をお願いしたいと思います。 【15】 その他にも、人間的に信頼出来る人、好きになれる人に譲渡するようにしたいものです。 たとえ最初にどんなに条件が良くても、結局は飼い主さんの考え方ひとつで幸せにも不幸にもなるのですから、責任感と愛情のある人を選んで下さい。暗い人、いい加減な人、傲慢な人、マイナス思考の人、不潔な人、など、好きになれないタイプの人は御断りした方が、最終的に良い結果になる場合が多いです。 ☆里親探しは、その子の運命を背負っているという気持ちを忘れずに、最後まで責任を持って行なって下さい。どこかでその子を待っている方とその子に繋がっている縁を結ぶという神聖なる行為である事をしっかり心に留めて飼い主さんも犬猫もお互いが幸せになれるような環境を選んであげて欲しいと思います。☆ ★なお、里親になるふりをして犬猫を騙し取り、三味線の皮革業者に流したり、動物実験のために実験動物取扱業者に売る「猫(犬)獲り」の被害を防ぐために、『動物達の現状』コーナーの「猫とり」に御用心の欄と里親探しにおける防衛マニュアルを是非御参照下さい。 |
★なお、里親になるふりをして犬猫を騙し取り、三味線の皮革業者に流したり、動物実験のために実験動物取扱業者に売る「猫(犬)獲り」の被害を防ぐために、『動物達の現状』コーナーの「猫とり」に御用心の欄と里親探しにおける防衛マニュアルを是非御参照下さい。 *当会は『里親詐欺防止ネットワーク』に加盟しております。 騙しとりなどの里親詐欺業者、注意人物の情報など、御相談に応じて個別で情報 提供致します。 里親探しにおいて、少しでも不安な点を感じたり、判断が難しい時は、当会本部事務局まで、お電話またはメールで御相談下さい。 |