第6回 日本レスキュー協会ドッグフォーラム
「青い瞳から見た日本の犬たちの悲劇」
主催:日本レスキュー協会
平成15年10月4日 開催
![]() 当日は「動物愛護支援の会」代表マルコ・ブルーノ氏が「マルコの東方犬聞録〜日本の犬には生まれたくない〜」と題し、基調講演を行われました。 今回のシンポジウムは非常に中味の濃い内容で、基調講演を頂いたマルコ・ブルーノさんは母国オーストリアの現状を多数に及ぶ写真と共に説明して下さりました。(オーストリアやドイツ、スイスは殺処分がゼロだということでそれがなぜなのか、日本との違いは何なのかを分かり易く時にはユーモアを交えお話し下さり、大変参考になりました。) 午後からのパネルディスカッションには、当会代表岡居も、マルコさんや、大阪大学技術専門職員佐藤良夫さん(昭和41年から実験動物の技術者として現場で働く中で、英国のアニマルナースのアン・ロスと出会ってから動物福祉の重要性に目覚められ、長年に渡り実験動物の福祉向上と環境改善に生涯をかけて取り組んでおられます。<昭和55年動物愛護功労賞受賞>)らと共にパネラーとして参加致しました。このパネルディスカッションも有意義な内容であっという間に時間が来てしまったといった印象です。 当日御参加が叶わなかった全国の皆様にも是非この内容をお伝えしたいと思い、簡単ですが独自に要点をまとめてみましたので、御参考にして頂ければ幸いです。 |
マルコ氏の母国オーストリアと日本の違いについて(マルコさんの講演よりマルコさんの談を要約) 『日本の現状』 ■東京都のある町の状況 町のあちらこちらで見る交通事故に遭った猫の死骸や、河川敷で放置されたままの動物達の残骸の多さに驚かされた。 また、狭い犬舎で身動きの取れない状態で、閉じ込められっぱなしの犬も多くいますが、現在の日本の法律では犬を飼主から保護することが出来ません。 ■介護保険はペット不可 介護保険(?)を受ける場合、ペットは 「贅沢品」 と判断され飼うことが許されていません。 老人にとってペットは心の支えとなるはずが、日本では物扱いされている。 ■日本で多い噛み付き事故 何故このようなことが起こるのか?犬をつなぎっぱなし → ストレスが溜まる → 噛みつく! ここでの問題は飼い方ですが、日本では飼い方の悪い飼主ではなく、犬が処分されている。 『オーストリアの現状』 ■町の様子について レストラン、公園、ホテル、商店など、町のあちこちで犬連れの人を見かけます。ほとんどの場所で犬は拒否されることはありません。 住宅も賃貸であっても動物禁止の所は皆無に等しく、禁止にすることによって逆に市民から反感をかってしまうような風潮があるそうです。 但し、それでも入ってはいけないところもあり、例えば薬局や、レストランなどでは客席は大丈夫ですが、厨房には入れません。その場合でも日本の立て札のように 「犬の立入禁止!!」 ではなく、かわいい犬の絵付きで「ここは入ってはダメよん」 と、やわらかく書かれており、その立て札の下には、リードを掛けるためのフックまで用意されています。 ■電車も同伴 電車などは子供料金で一緒に乗ることができます。飼主が犬を椅子に乗せる場合は、飼い主が持参した犬用毛布を敷いて毛が付かないように配慮しています。 *社会が犬達を受け入れている背景には、このような飼主のマナーある行動あってのことなんだな、と思います。 ■家に子供が生まれると 多くの人が、家に子供が生まれると、その子供のために犬を飼い始めます。 これは、犬が教えてくれることの大きさを知っているからで、子供達が、人より短い命を持った動物に接することで、弱い者を大切にする心や、思いやりの心を育むためです。 日本では、「犬=汚い」 と敬遠されがちですが、これは飼い方が悪いことが原因で、綺麗で清潔にしてあげていれば問題ありません。 ■保護施設について 日本のように殺処分は行われていない。(殺処分ゼロです。) 心のケアが必要な犬達のリハビリ施設があり、ここで自由にさせて心の回復を待ちます。そこで重要なのが、人から近寄るのではなく、犬に近寄ってこさせること、犬が近寄って来るまで待ちます。 犬と猫は別々で、それぞれリードのない状態で集団生活させています。また、譲渡は老人にも行われており、もしもその飼い主が先に亡くなった場合は、保護施設に戻されるため、心配しなくて良い仕組みになっています。 *この保護・リハビリ施設のシステムは、人慣れしていない犬へのリハビリ方法など、多いに学ぶ所がありました。 少しずつでも日本でもこのようなシステムが実現するようになれば無駄に殺される命も少なくなるのではないかと思います。 ■ストレス発散 犬のストレスを発散させるため、犬と遊んであげる人達がいます。これを仕事にしていたり、ボランティアもいます。 『マルコさんはオーストリアで生まれ育ち、日本に移り住んで以来34年です。根っからの日本びいきのマルコさんですが、ペットを家族の一員として扱う祖国・オーストリアに比べ、日本は「物」として扱っているという現状に憤り日本の犬達の状況改善のため長年保護活動を続けてこられました。 今回のシンポジウムでは、日本人がふだん気付かない犬達への虐待や愛護が愛護となっていない実態など、外国人の目から見た日本の動物福祉の問題点を鋭く指摘されました。 (日本レスキュー協会作成シンポジウムの案内パンフレットより一部参照)』 |
■里親詐欺について 里親に出す場合の注意事項など。 ■犬食について 食文化の違いは受け入れるべきでは? 日本でも犬を食べると体が温もる等の理由で、食されている地域や、お店もあります。 ■殺処分の現状について 処分施設で働かれている職員達が、どれだけ辛い思いで働かれていることか。 飼い主自身の無責任で身勝手な後始末が、他人に押し付けられている。 無責任な人間が罰せられるのではなく、弱い立場の犬や猫達が犠牲になっています。 ■動愛法について 法律の内容には、"適正","適所" などの曖昧な言葉が多い、人によってその適正度合いが異なることから効力を発揮できずにいる。 そのため、具体的に示す必要があります。 その他、無責任な人間が安易に動物を飼えなくするための提案として ・狂犬病だけでなく、ワクチンやフィラリア予防接種の義務付け。 ・ペットに税金を掛け(直接税)、その税金を保護団体などで使用する。など ■元栓を締める 無責任な人間には動物飼育を認めさせない。 安易で無責任な繁殖を制限する他、営利優先の繁殖が行われているペット産業の改善。 |
以上プラーナ独断の我流にて要点をまとめてみました。 オーストリアを始めとする欧米の動物愛護先進国と日本の大きな違いはシステムや社会だけならず「人々の意識」だと改めて実感致します。 動物達をモノではなく、恐れや哀しみ、愛や喜びを知る「尊い」命ある愛すべき仲間であるという意識が日本にも根付いていくように心同じくするもの同士、これからも頑張っていきたいものです。 |