茨城の高校生による 
自分達だけの手作りパネル展が行われました!

(H15.3.2-3)



年明けの1月、茨城県の高校生の女の子から事務局に電話がありました。
学校の授業の一環でボランティア活動に参加することになっているそうで
プラーナのボランティアに参加出来ないかということでした。
高校生でも出来る内容をいくつか御提案させて頂き、具体的な検討を
して頂いていた所、2月の20日過ぎに、改めて連絡してきてくれて、
署名活動と駅の地下街でのパネル展活動を行うことを希望してこられました。

我々の次の世代である若者達がこうして行動を起こそうとしてくれていることが
非常に心強くもあり有難くもありましたので、是非にも彼女らの
この小さな活動が今後大きな芽となることを期待して、
我々も心より応援したいと思いました。

以下は、彼女達が、自分達だけで苦心して作り上げた手作りパネル展が
開催されるに至るまでと、大成功に終わったパネル展のレポートです。



参加メンバーによるレポート



偶然プラーナのホームページを見ました。
ホームページの内容は私にとってとても衝撃的なものでした。私は全く知らない世界を知ったのです。
それから私はこの動物たちを少しでも多く救う方法を考えました。しかし、今の私には保健所の管理施設を変えることも日本のペット事情を変えることも無理です。
そんな時、プラーナHPにある言葉を思い出しました。「知らないことは罪である」
それをきっかけに私はもっと多くの人にこの現実を知ってもらいたいと思いました。学校でみんなと話し合い、さっそくプラーナのほうに電話したところとても親切にアドバイスしてくださいました。
それをもとにしてミニパネル展と署名集めをやることに決めました。みんなと話し合っていくうちにパネルだけではなくチラシも作ろうということになりました。
プラーナの方々の協力があったので準備は順調に進みました。1日目準備をしていると1人の男性が自転車から降りて立ち止まってくれました。初めて見てくれた人が涙してくれました。
その涙を見た瞬間私たちが訴えたかったことがちゃんと伝わったのだ、ととても感動しました。その後も次々と人が立ち止まって真剣に見てくれました。
ある人は「がんばって」ある人は「ありがとう」と声をかけてくれました。そう言ってもらう度にやってよかった、と思いました。
私は以前から動物に興味を持っていて、将来も動物に係わる仕事をしたいと思っています。
今までこのような悲惨な現実を知らなかったので、改めて命の尊さを学びました。そしてまた、私の中で動物に対する思いも変わりました。
もしパネル展をやっていなかったらこの現実を知る人は今よりも少なく、また苦しみを味わう動物は増えていたでしょう。
動物は飼い主を選ぶことはできません。動物は人間と同じ生命をもった生き物なのです。当たり前のことですが、当たり前でなくなっているということを知りました。もし当たり前のことだとすべての人が思っていたら虐待はないでしょう。また動物を捨てる人もいないでしょう。
本当に小規模なパネル展でしたが、私にとってとても素晴らしいパネル展でした。
プラーナの方々はとても忙しい中私たちのために時間を削っていただいてくださいました。プラーナの方々に協力していただいたおかげでこのパネル展は成功しました。本当にありがとうございました。(原田)

  ・・・・

私は初め少しでも多くの人々に動物たちの現状が分かってもらえたら、とこの活動に参加しました。
とは言っても私も現状を知っていなかったのです。私が得られる情報といったら、本やパソコンでのホームページぐらいでした。その程度でした。
だから初めてプラーナから送られてきた写真を見た時のショックは大きかったです。私の想像よりはるかに悲惨な現状が写されていました。特にショックだったのは動物実験されている犬の写真でした。それまで私の想像する動物実験とは、化粧品の場合動物の皮膚に長時間塗り、それで異常な反応が起こらないかというものだと思っていました。
でも、その写真の犬のおかれている場所は掃除がされてないような檻の中で体は全く健康とは言えない様子でした。同じ人間がこんな事をしているという事はなんだか悲しいです。
この前、大学で薬学を勉強していたと思われる人が言っていました。「かわいそうなんて言っていられないの。はい、血をぬきます。そんな感じだった。」と。
私は確かに命を犠牲にする事はやむをえない場合があると思います。でも、死に慣れてはいけないと思います。慣れて欲しくないです。
さて、パネル展をしてみて、私は何かやろうと行動を起こせば何らかの成果が出るということがよく分かりました。
今回私たちは2日間だけ人々に動物たちの現状をうったえました。でも、2日間だけでもパネル展も目を向けてくれる人、足を止めてくれる人、また、涙を流してパネルを見る人までいました。あの小さなパネル展でも人々の心にうったえるものがあったなら私たちの活動はすごく意味のあるものとなったと思います。
普通このような活動をしようと思っても責任があったりして実行できる人はごくわずかでしょう。私たちだってあと3年ぐらいして成人したり、またこれを1人でやるとしたら責任が重くのしかかり実行に移せなかったかもしれません。でもやる前に失敗を恐れるよりも、やはり実行に移すことが大事だということが分かりました。
パネル展をする前は不安もあったけど、終わってみると達成感ですごく気分がよかったです。この活動がうまくいったのはプラーナのみなさんの協力があったからです。
私たちだけの力では出来なかったかもしれません。本当に協力ありがとうございました。(倉持) 

  ・・・

初めは私たちに出来ることはほんの少しだと思っていました。
しかし、プラーナのみなさんの協力により私たちの活動は思っていた以上に納得のいくものとなりました。
動物実験の様子のパネルを準備している時に私は初めて動物たちが受けさせられている実験の恐ろしさを知りました。
駅付近に展示したそれらのパネルを立ち止まって見てくれる人たちがいました。その時は嬉しい気持ちで一杯になりました。自分たちがしていたことが認められた気がしました。少しだけなのだろうけど、実験用とされる動物たちの現状を知らせることができたと思います。
自分たちのこれらの活動を成功させることができ嬉しく思います。(坂野)

  ・・・・

今回この動物実験禁止の署名運動を通して、初めて身近に動物たちの命の現状を感じました。そして、人間はなんて残酷な生き物なのだろうと悲しくなりました。
2日間の活動を通して1番最初に署名をしてくれた時と涙を流してパネルを見てくれた人を見た時、やって良かったと思いました。(稲垣)

   ・・・・

このパネル展の準備をするのは私にとって大して大変ではありませんでした。それよりも考える事の方が大変でした。
パネルを見てこの現状を放っておくに忍びないと思いました。「でもどうやって?」そこからが大変になりました。
動物実験なんてして欲しくないと思っていても、やらないと病気の治療は困難になると思います。保健所に連れてこられても保健所にいつまでも置いておくわけにはいきません。飼い主の責任といっても、どうやったら無責任な飼い主がいなくなるのか…何を考えてもそれ以上先に進めませんでした。
私の家ではペットを飼っていませんが祖母の家には犬がいます。2日間世話を頼まれた時、犬は2日目にまた寂しくなると分かっているかのように明らかに動きが違いました。こんな感情豊かに生きているのに、どうして人間と犬との間でこのような悲しいことが現実に起こるのだろうかと思いました。
ヒトにもイヌにもその他の動物たちにも、どっちの方が上か下かなんてつけようがないはずです。そういろいろ考えると、まだまだ進まないけれどこのパネル展をやったことで何かが進んだのではないかと思いました。(斉藤) 





プラーナコメント

パネル展をやりたい、と要望を受けてから、どんな形でやるのか、何が必要か、などの詳細を何度か打ち合わせさせて頂き、出来るだけ本人達の希望に添うようバックアップしてきました。
彼女達は自ら積極的に計画を立て、行動も起こしてくれました。
今回、本当に嬉しい驚きと感動を彼女達に与えてもらったような気がします。
そのパネル展も、3月2日開催本番を迎えました。1日目を終えた彼女達に感想を聞いてみました。
「やって良かった。頑張った甲斐があった。」と言ってくれました。我々が行う時と同じように、誰かが立ち止まると他の人も立ち止まって見てくれる、ということもあったようで、彼女達なりに多くの人に立ち止まってもらえるよう創意工夫でいろいろやってみたようです。
その内、じっくり見て下さる方も増えてきたようで、見ながら涙を流している人もいた、と言っていました。
それを見て、みんな「苦労して準備したのも報われる」と思ったそうです。

彼女達がパネル展をするにあたって、私から伝えたことがあります。これは本部のパネル展の際にも常々みんなに言ってきたことです。
立ち止まる人もなく、募金も集まらず、署名もしてくれなかったとしてもたった1人だけでも見てくれて、その人が動物達の現状を知りその現状を変えなくてはいけないと気付いてくれるならそのパネル展は、やった意義がある。
たった1人でもいい。伝えること。知ってもらうこと。それが啓発のための大切な活動の原点なんだよ。・・・と。

その言葉を彼女達は自ら感じてくれたようです。
その日の彼女達の話しから、その言葉の意味を真に理解してくれたことがわかりました。嬉しかったです。本当に。
とっても疲れた、と言っていましたが、彼女達にはとても有意義で大きな体験となったようでした。
頑張ってね、と沢山声もかけてもらったそうです。質問もいっぱいされたそうです。
私の指示の元、彼女達自らが作った啓発チラシも沢山の人が持って帰ってくれたそうです。

また、今回、未成年の女の子だけで行うため、街頭でのパネル展活動は最初は勧めてはいませんでした。
しかし、彼女達が時間をかけて検討し、自らやりたいと決めたからには出来るだけ危険のないよう考慮して、実現させてあげたいと思うようになりました。
我々スタッフが神戸から駆けつけることが出来れば良いのですが、それも現状では困難なため、会員さんにも呼びかけをし、
当日立ち合って下さる方を募りました。
しかし、残念ながら近郊の方が少なかったせいか立ち合える人がいなかったため、万が一変な人やよっぱらいにからまれたりしたらいけないから、保護者の方、誰かお1人でも付き添ってあげて欲しいと、私から御両親に直々にお願いしていました。
でも、彼女達、ちゃんとその点も考えていたんです。開催場所に選んだ駅の構内は目の前に警察の派出所もあり、いつもそこに警官がいることも事前に確認をしていました。駅に許可を取る際も万が一の事があったら助けてくれるよう自分達でお願いもしてくれていたようです。

学校の授業の一環でボランティア活動をすることになったんだけど、プラーナの活動のボランティアをしたいと最初に事務局に電話をくれた時、彼女達に出来そうな活動を具体的にアドバイスさせてもらいました。
いくつかの候補の中にパネル展があったのですが、その際、会話の流れの中で、私が、未成年だけで街頭でパネル展をするのは危ないから、するなら先生か御家族に付き添ってもらったほうがいい、と言ったこと。無理なら学校の中ですれば?と言ったこと。
実際開催する場合でも人の集まる場所の確保や使用許可が必要だ、等々の言葉を彼女達はちゃんと頭に入れていました。
また、最初、プラーナの活動のための募金を集めたいと言ってきてくれたのですが、万が一お金を奪おうと誰かに暴力ふるわれるようなことになったらいけないし、高校生だけで募金を集めるのは危険だから署名だけにした方がいいよ、とも言っていました。
彼女達はそこで署名だけにした訳ですが、私が会話の中で度々口にした未成年だから危険があってはいけない、という言葉をちゃんと受け止めてくれていたのです。
彼女達はそのアドバイスを元に、自分達に出来ることを一生懸命検討してその結果、自らパネル展をやることに決めました。
だから事前に自分達でも、万が一にも危険がないよう全て考慮した上で準備をしてくれていたのです。
約1ヵ月後、パネル展をやることに決めたと連絡してきた時にはもう場所の確保も使用許可も取っていました。
自分達でどこが良いか検討して、人の多い駅で、派出所もある、そんな駅を選びだし、さらに自分達で交渉する。そして、全ての問題が解決し、実現出来る状況が出来た上で、私に改めて連絡してきてくれた訳です。
なかなか出来ることじゃありません。
今回、私が心配して御両親にお話ししたことを伝え聞いたリーダーの女の子は警官にもちゃんとお願いをしておくつもりですから大丈夫です、と言ってくれました。
結局御家族の方々は都合が付かず誰も来られなかったようですが、当日、言葉通り、パネル展が始まる前に派出所に行って協力をお願いしたようで、そのおまわりさんもパネル展を見に来てくれたそうです。
おまわりさんも来てくれた、と嬉しそうに話してくれたのを聞き、私は涙が出そうになりました。

活動って、誰かに言われてやるものではなく、自らが自らの意思でやりたいと思ってするべきもののはずです。
これを変えたい、だからこれをする。そう決めたら一生懸命実現のため自ら努力する。彼女達の今回の活動は、まさにその通りのものでした。
私のアドバイスの中の、小さな言葉もちゃんと聞きのがさず受け止めてそれに応えられるよう、自らが自らの手でそれを形にした。
具体的に行動を起こし始めてからは私からあえて指示をする必要はありませんでした。彼女達は言われる前にちゃんと行動を起こしていました。彼女達には教えられることがいっぱいあると思います。
また、次世代を担う彼女らが自ら行動を起こした姿は、きっと、同年代の子供達の大きな手本となってくれることとも思います。
小さいかもしれないけれど、でも大きな意味のある、こんな活動の芽がこれからあちこちで芽ぶくことを期待したいと思います。

また、今回の一件で新たな展開もありました。
実は99年より「行政による動物殺処分の現状の改善と廃止を求める署名活動」と題し、現在もHP上並びにパネル展で署名集めを展開しておりますが、今の署名を集め始め、途中、署名の内容に不備があったことが発覚し、現在の署名用紙に改訂したのは2001年後半です。
現在バージョンの署名を集め出してから1年半ほどが過ぎたことになります。99年からの旧バージョンが署名として効力がないかもしれないということで関係機関への提出を一度あきらめ、現バージョンから新たに集め出すことになったという経緯がありました。
しかし、その現バージョンもすでに1年あまりが過ぎましたので、そろそろ、99年からのも合わせて、環境省に提出に行きたいと考えていたところでした。
今回のことがあり、もし、彼女達が望むなら、その際、いっしょに環境省に行ってはどうだろうと考え、彼女達にも提案してみました。彼女達自らが集めてくれた署名を彼女達自身の手で、我々といっしょに提出しに行く訳です。
自分達で企画して、そして実際行動に起こしたものが、形になり、その彼女達の呼びかけに応え、力を貸そうと署名して下さる方達のためにも、その方達お1人お1人の思いや願いを託された彼女達自身の手で届けに行ってはどうか、と思ったのです。彼女達もとても喜んでくれています。
勿論、学校もあるでしょうし、具体的な日程はまだ未定ですが、彼女達のためにも是非実現出来ればと思っております。
(岡居)



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