密輸大国ニッポン

ワシントン条約に違反して密輸される動物が、このところのペットブームで急増しています。
1992年に約300匹だったのが98年ではその5倍の約1450匹と激増しているのです。
今まで日本では動物取扱業に対して何の規制もなかったためこういった業者が後を絶ちませんでした。
2000年に施行された「動物の愛護及び保護に関する法律」では、動物取り扱い業の規制法が出来、届出制になりました。これによって業者が基準を守らない場合、都道府県知事が勧告を命ずることが出来るようになりました。今後、この法律により悪質な業者が減っていくことを期待したい所です。
しかし、この事例の場合も、業者への規制だけが本当の解決に繋がる訳では決してありません。
それを欲しいと思う人間やお金を出して買う人間が居る以上、密輸は無くならないでしょうし、業者も益々水面下に潜って暗躍を続けていくでしょう。
生命をお金儲けの手段や物欲の対象にしか見ることの出来ない浅はかな欲深さの陰で、罪無き動物達が泣いています。
ペットとして密輸され保護された動物の多くは動物園や水族館などに収容されますが、そのスペースや経費などの関係でどこもパンク寸前です。またこういった保護された動物というのは展示されるのではなく、施設の裏でひっそりと飼われ、そのまま人の目にふれることなく死んでいく場合も少なくありません。
また漢方薬の材料などにするため密猟され絶滅の危機に瀕している動物たちもたくさん居ますが、その需要先がほとんど日本であるのは、非常に恥ずかしい限りです。
人間を含め動物たちは、自然の中で生かされています。それぞれの地域の自然環境に合わせて生態を作りあげているのです。かわいいという理由だけで、生態にそぐわぬ場所に連れてこられても動物たちには不幸なだけです。
動物たちは生態にそぐう自然環境の中で生きていくべきなのです。外国種の生き物を安易に輸入することは、日本の生態系をも狂わせる危険性があります。我々消費者も、自分の欲を満たすために他者の生命や本来あるべき姿を奪うことさえ何とも思わない、そんな生き方はもうやめにしませんか?


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