売れ残ったペットたちの行方は・・・現在のペット産業
ペットショップやブリーダーなど自称愛犬家と呼ばれる人々の中には、残念ながら犬猫を単なる金儲けの道具にしか思っていない人達も一部におり、そういった心無い悪徳業者に苦しめられている動物たちはたくさんいます。 例えば、繁殖用の犬や猫は狭いケージに入れられ、散歩もなし。年中妊娠させられ、病気や年老いた犬でさえ繁殖に駆り出されます。そうやって産まれた子犬子猫のうち、商品価値の低いものは処分されます。 処分の方法は、バケツに水を入れて溺死させる、ガスコンロのガスを吸わせる、首と体をもって、雑巾のようにひねって殺すなど、犬や猫を生き物として扱うことのない残酷な方法を用いている事例も多いようです。 また、売れ残った犬や猫を安価で引き取り、家畜用のエサや、動物実験用として売る業者もあります。 今まで日本には動物取扱業に関する規制はなく、資格も要らないので、何の知識もなく、金儲けしか考えない業者がこのように野放しにされていましたが、99年12月に『動物の保護及び管理に関する法律』が改正され『動物の愛護及び管理に関する法律』となり、動物取扱業者に対しては、都道府県知事又は指定都市への「届出」が必要になりました。 総理府令で定める基準の他、各自治体で定める特別の規制措置が守られているか、行政の担当職員による立ち入り検査も出来るようになり、勧告に従わない場合は係る措置をとるべきことを命ずることが出来るという事です。 しかしこの新法が劣悪な業者を今後どれくらい規制できるようになるか、無届けで隠密に行なう業者も出て来る可能性もあり、我々も注意して見守る必要があるでしょう。 ![]() わがままな消費者が作り出すブームの陰で、人気の種類の犬猫はお金になるため無理な繁殖が繰り返され、ボロボロになるまで母体を酷使され、その結果、近親交配などで疾患のある子が多々生まれたりしています。 又、そういうブームが去った後、人気につられ安易にアクセサリーと同じ感覚で買われていった犬達が、多々動物管理センターに持ち込まれるのです。 例えば欧米のように動物取扱業に対しての規制が厳しく整備されていると、リスクを伴う事になるためほとんどのペットショップでは生体販売を行なっていません。 新たに犬や猫を欲しいと思った時は捨て犬・捨て猫を保護・収容する施設から引き取るか、ブリーダーからきちんと面談、審査、指導を受けた上で飼うか、どちらかです。ブリーダーから飼うにしても、かなり審査は厳しく、過去の飼育歴も審査の対象となるため、いい加減な気持ちの人や無責任な人間は、動物を飼う事は出来ません。 日本は、お金さえ払えば、どんな人間でも動物を飼う事が出来ます。動物たちを命あるものと捉える欧米と、商品と見る日本の違いがこんな所にも現れているように思えます。商品だから、あきたらゴミのように捨てるという発想で、動物管理センターに持ち込まれたり、放棄されたりするのです。 無責任な飼い主を助長しているのは、こういった根底にある商品意識に基づく日本のペット産業システムも一因であることは否めません。でもこの状況を改善していくには、消費者つまり、我々自身が意識を変えていかない限り、いくら取扱業者を規制しても、根本的な解決にはならないという事を理解しなければなりません。何でも欧米が良いとは思いませんが、このシステムは日本も見習うべき点があると思います。今後『動物愛護法』が、そういった意味で、良い風穴となることを期待せずにはいられません。 |