動 物 実 験 で 苦 し む 動 物 達









現      状


動物実験は一般に「医学のため」と思われていますが、実際の動物実験はそんなドラマチックなものではありません。
動物実験とは動物を病気にすることから始まります。病気の苦痛の中、動物たちはただ耐えることしか許されません。又、麻酔もされず(麻酔を打つと正しいデーターが得られないからという冷酷な理由で)切ったり貼られたり、残酷で恐怖に満ちた死ぬよりつらい思いをさせられるのです。
実験に使われた犬は白衣を見ただけで恐怖のあまり血の混じったオシッコを漏らすと言います。恐怖と激痛の中、最後には新聞紙に包まれ「焼却処分」と書かれ、まるでボロぞうきんのように使い捨てられ死んでいくのです。もうすでに結果が分かっているのに、論文を書くためや、単位を取るがためだけに、繰り返し実験が行われ、そのために何頭もの尊い命が奪われていくのです。日本には動物実験の規制が全くありません。資格も審査もなく、誰がどこでどんな実験を行っても罰せられることはありません。また、そういったムダな実験に私たちの税金が使われているのです。 この無意味な実験をやめれば、日本では約9割の動物実験を削減できると言われています。動物を痛みや恐怖を感じる感情を持つ存在として捉えている関係機関は、残念ながら日本ではまだほんのわずかに過ぎないのです。





欧 米 と の 違 い


日本の留学生が海外において動物実験を行おうとすると、「あなたはライセンスをもっていますか?」とストップがかかります。日本の研究者が動物実験を行って書いた論文を海外に提出したところ、「この研究は動物虐待にあたる」と突き返されたこともあります。
欧米では動物実験を行う場合、許可を受けた実験施設で、ライセンスを持った人のみが行います。その実験がその動物を使わなければできないのか、必要最小限の数で行ったのか、適正な管理の元で行われたか、など、倫理委員会で審査されます。それに違反すれば免許の取り消し、罰金、懲役、研究資金の停止など厳しい罰則がありますが、日本ではそれらの全てがありません。





動 物 実 験 は キ ケ ン で す


消費者のほとんどは、私たちの身の回りにある商品が開発される段階で、動物実験が行われていることを知りません。普段何気なく使っている日用生活用品や医薬品はいくつもの化学物質を併用し、その相乗作用の「安全性」すなわち「毒性」を調べるために多くの動物実験が行われています。一つの化学物質の安全性を調べるのに1000匹以上の動物を使用すると言います。動物実験のうち、7割がこういった毒性試験に使われます。マウスをはじめウサギ、イヌ、ネコなど日本では年間2000万匹の動物が犠牲になっているのです。
しかし、ネズミで得た実験結果をそのまま人間に当てはめることは非常に危険です。ネズミと人間とでは生体が違います。薬物の共用性は7%にしかすぎません。しかもネズミやイヌには起きないのに人間にだけに起きる副作用は54%もあるといわれています。
また実験動物は、人工交配された同一系統の同一種で、無菌状態の中、一定の飼育条件において、同じ環境で同じ飼料を与えられ、早く結果を知るため過量投与されています。それで得た結果を、年齢や人種が千差万別で、環境条件が多種多様の人間に「安全」と当てはめるのはあまりにもムリがあります。ですから最終的にはモニター調査と称し、人体実験(臨床試験)が行われるのです。   





動 物 実 験 に お け る 薬 害 の 悲 劇


動物実験で安全だと言われておきた薬害にサリドマイドがあります。この薬を飲んだ妊婦から全世界で1万人の障害児が産まれました。そのほかにもキノホルム、小児マヒワクチンなどたくさんの悲劇をもたらした薬品があります。なぜ、このような薬害が起こるのでしょう。
それは動物実験そのものが過ちだからです。人と動物とでは生理作用が違います。人には致死量となるアヘンは犬には無害です。また猛毒のヒ素もヒツジには無害です。逆に、肺炎に効くペニシリンはモルモットには猛毒です。このように生体が違うものどうしで、いくら動物実験を繰り返しても安全性は確実なものとは言えないでしょう。海の物とも山の物とも分からぬ薬を作り、自然界には存在しない化学物質を大量にばらまく事によっての、生命や環境に与える影響ははかりしれません。そのしっぺがえしはいつかきっと我々人間にかえってくるものです。薬害を生み、環境汚染を引き起こし、生命をも粗末にする動物実験は本当に必要なのでしょうか。





動 物 実 験 に 代 わ る も の


残酷さや有効性への疑問、コストがかかるといった問題から動物実験を行わずに安全性を調べる代替法の開発がさかんに行われています。特に化粧品分野においては3Rとよばれる代替法<動物の苦痛の排除(refine)、動物の使用数の削減(reduce)、動物を使わない方法への置き換え(replace)>の研究が活発になってきています。
ウサギの目に化学物質を注入し、障害の程度を調べるドレーズテストのかわりに、鶏卵の胚の膜組織や、グンゼ(株)が開発した人間の皮膚の細胞を培養してつくった皮膚モデルなどを使えば、動物に苦痛を与えないだけでなく、試験時間が四分の一、経費も半分に抑えられるとしています。また近年の科学の進歩に伴い、コンピューターシュミレーションなどによって、これまでの無意味な動物実験の9割が削減できるとされています。





動物実験廃止に向けて世界の流れ


イギリスやドイツでは化粧品における動物実験が禁止になりました。またEUでも2000年に動物実験をした化粧品の域内取引が禁止になるなど、欧米を中心に動物実験廃止の動きが出てきています。
米大手メーカーのP&Gが、このほど法的に要求される場合を除き、商品の安全性を確認するための動物実験を中止すると発表しました。業界最王手の同社の決定は、全世界の関係業界に影響を与えることは間違いありません。






 

− 動物実験を無くしていくために我々に何が出来るのか
彼女の生き方を通して考えてみませんか −

今から30数年前の日本の実験動物の現状は、さんたんたるものでした。
そんな時代であった1969年に日本に来日し、日本の実験動物達に命を捧げたイギリス女性がいました。
彼女の名は「アン・ロス」。
実験動物の飼育状況の改善に文字通り命を削るがごとく尽力なさりましたが、心身共にその無理がたたり、静かにこの世を去られました。
しかし、彼女の残したものは大きく、その後、日本の実験動物への対応は当時のさんたんたる状況から大きく変わりました。
まだまだ動物愛護先進国と言われる欧米諸国には到底追い付かないものの、今も彼女の遺志を語り継ぎながら、それに少しでも追い付くよう、また、いつか動物達の犠牲を無くしていくことが出来るよう努力されておられる御関係者もおられます。
亡くなるまで日本の動物達を気にかけていた彼女のことを皆様にも是非知って頂きたいと思うと共に、彼女に遺志を託された現代を生きる我々にこれから何が出来るのか、そして何をすべきなのか、を、彼女の生き方からも何か学ぶことがあるのではないか、皆様と共に考えてみたいと思います。
本当にいつか必ず医療という名の元での動物達の犠牲をこの世からなくしていくために・・・



◆サイト紹介◆
カタカナの墓碑
筆者/佐藤良夫氏(大阪大学技術専門職員)
プロフィール/昭和41年から実験動物の技術者として現場で働く中で、アンに出会ってから動物福祉の重要性に目覚める。
昭和55年、実験動物部門で初めて動物愛護功労賞を受賞。
「英国のアニマルナースのアン・ロスと出会い、わずか1年の間に実験動物福祉の重要性を叩き込まれ、いつしかそれが自分のライフワークとなり、さまざまな葛藤と闘いながら、現在に至っております。
自分の命と引き換えに日本の犬に献身的な態度で臨まれたアンのことを知ってもらいたいと、強く思っています。(佐藤氏談)」

(上記の佐藤氏プロフィール等は、2002年11月2日、
NPO法人日本レスキュー協会主催
「動物愛護・保護フォーラム/動物殺処分ゼロを目指すネットワーク」のフォーラムにて佐藤氏が基調講演された際の、日本レスキュー制作パンフレットより引用させて頂きました。
プラーナもこの「動物殺処分ゼロを目指すネットワーク」に参加しており、代表岡居も講演を行っております。)


◆「カタカナの墓碑」が本になります!   2004/7/23

出版社: ジュリアン    書名: カタカナの墓碑    著者: 佐藤良夫
来週から出版(発売)されますが、発売後すぐには店頭に並ばないと思いますので、各書店で注文して取り寄せてもらって下さい。
以下は、当会に寄せられました著者佐藤氏からのコメントです。

このほど、WEB版の「カタカナの墓碑」が出版されて本屋さんで入手することが可能になりました。まだご存知でない方にこの本の主旨を説明させて頂きます。

まだ実験動物福祉が叫ばれていない30年前に一人の英国人女性が来日しました。
彼女の名前は「アン・ロス」。東京大学を皮切りに東北大、大阪大学と啓蒙活動を続けて、最後の大阪大学で倒れ、帰らぬ人となりました。
遠い異国での啓蒙活動は彼女に取って、まるで地獄の日々でした。
実験後の犬に寄り添って一晩中看護をしても、成果を見ないまま死んで行く動物達に何度謝りました。そして、言葉のコミュニケーションも出来ない中で、一生懸命、実験動物福祉の重要性を日本人に訴えました。
彼女の故国、英国では考えられないことばかりで、次第に精神力も体力も奪われていき、残された動物達を途中放棄しなければならなくなった自分を恨みながらアンは天国に召されました。
彼女の運動がきっかけで日本にも実験動物福祉の考え方が広がり、今ではどの大学でも「実験動物指針」が作られるようになりました。
彼女の墓はロンドンの片田舎でお母さんと妹に見守られながら今でもひっそりと建っています。墓碑にはカタカナで「アン・ロス」と書かれてあります。
ただ、残念なのはこの墓碑の墓参に行ったのは日本人では私と盲導犬協会のI氏だけということです。
大阪大学 佐藤良夫




プ ラ ー ナ は こ う 考 え る 


1、動物実験している商品がなぜ悪いかー

99年夏、『買ってはいけない』という本がベストセラーになりました。反論本なども出て、大変話題を呼びましたので、関心を持たれた方も多いと思います。これは現在市場に出回っている商品への警告を内容にしていて、具体的にはその商品に含まれる合成添加物等の危険性を訴えるものです。食品、日用品、化粧品など、実際にその商品名とメーカー名を掲載しています。
発行者たちの当初の予想を大幅に上回る反響ぶりだったようですが、それだけ消費者が添加物に危機感を持ち、本当に安全な商品を求めている証だったのではないかと思います。(ちなみに添加物は合成、天然に関わらず有害) 実際、現代は食品に関しても、遺伝子組み替え野菜やダイオキシン、クローン牛、残留農薬など、不安な要素が多く、流通している商品に対しての信頼も薄らいできています。自分の身は自分で守るつもりで、消費者が本当に安全なものを見極め選んでいく必要があるでしょう。
さて、そのような危険であると名指しされたような商品は必ずと言っていいほど動物実験が行なわれていることを御存じでしょうか。これは人体に有害もしくは有害である可能性のあるものを含む商品の開発・販売にあたっては、安全性を確かめるため、動物実験が厚生省によって義務付けられているからです。
つまり、極端に言えば、動物実験を行なっている商品は、人体に有害な添加物が、多からず少なからず使用されているということです。
現在使用されている添加物の中には大変な毒性を持つ物も多く、そんなものを知らずに摂取させられている現状には寒気を感じる程です。健康も害し、動物も苦しめる、そんな危険な商品は自らのためにも決して選びたくはありません。
我々は人にも動物にも自然にも本当に安全なものを求めていかなければならないと思います。自然を汚すものはやがては巡り巡って我々の体をむしばみます。ダイオキシンの様に生物全体の繁殖・生存を脅かすものもあります。
また、動物を苦しめても生態の違う人間にそのままその動物実験で得たテスト結果が当てはまるともいえません。過去起きた数々の薬害がその証拠です。
「他の命を粗末に扱えばやがては自分の身にかえってくる」、現代の添加物と動物実験の関係は、まさにそれを証明しているものだと思います。
地球、そして地球で営む全ての者に本当に安全で必要なものは、全て自然の中にあります。
それは、どの生命も苦しめないものであるという、先住民達の言葉もあります。
我々も、全ての生命を守ることが自分の身を守ることに繋がるという自覚を持って必要の無いものをノーと言える賢い選択をしていきたいものです。 『動物実験している製品や有害な科学物質はいらない!』と。

2、不透明な動物実験 (未稿)





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