「動物管理センターでの殺処分」


・捨てられた犬猫の運命は・・・
飼い主に捨てられ、保健所に持ち込まれる犬猫は年間80万匹にものぼります。
その理由は、引っ越しや近所の苦情、仔どもが産まれた、病気になった、世話が面倒など飼い主の都合によるものがほとんどで、そういった放棄は全体の8割を占めています。あとの2割は通報などで捕獲された迷い犬です。猫は基本的に捕獲は行っていないので、全て持ち込みとなっています。そのうち8割が子猫です。
保健所に持ち込まれた犬猫の内、各自治体によって多少の差はありますが、多くは、放棄犬猫は即日、迷い犬は3〜7日後には殺処分されます。
また、これも全てではありませんが、一般的には一度保健所に収容された犬猫は元の飼い主しか連れ戻すことはできません。
これはどういうことかというと、(一部自治体を除き)一般への譲渡は認められていないからです。(一般の人が譲って欲しいといっても譲ってはくれない)
一般譲渡を認めていない自治体に、その理由を尋ねると、「決まりだから」だそうです。(ある自治体は、元の飼い主に所有権があり、飼い主が処分を要望している以上、譲渡することは出来ない、と言っていました。)
よく保健所から子犬をもらってきたと聞きますが、それは保健所が行う譲渡会に一般の人が持ち込んだ子犬のことで、保健所に持ち込まれた犬猫ではない場合が多いです。
このような現状を見ると、行政は生かすことより殺すことを優先しているのではないかと残念ながら思わざるを得ません。一般譲渡は行わないのに実験払い下げは行うこの矛盾。そして殺処分に使われる税金は年間300億円ともいわれています。
紛失物でさえ6ヶ月間保管されるのに、命ある犬猫がまるでゴミのように処分されていくのです。
でも本当に責められるべきは、無責任な飼い主です。
行政はそんな人間の後始末をさせられているに過ぎないのです。私達国民1人1人の意識が変わらない限り、本当の解決にはならないことを知らなければならないでしょう。




・欧米との違い
欧米の多くの国では、日本のような保健所の代わりに、シェルター(救護所) と呼ばれる施設があり、そこで捨てられたり飼えなくなった犬猫たちが保護され、新たな飼い主を待ちます。
また、欧米のペットショップでは生体を販売していないため(動物取扱業に対しての規制が厳しくリスクを伴うため)、新たに犬や猫を飼おうと思っている人はブリーダーか、こういったシェルターから引き取ります。ですから収容された犬猫の9割は新たな飼い主の元で第二の人生を送ることになります。
しかし、日本では総理府のまとめによると98年度に捕獲、収容された犬猫は約80万匹、そのうち元の飼い主や新たな飼い主の手に渡ったのはほんの3万匹にしか過ぎず、残りのほとんどが「処分」もしくは「実験払い下げ」です。
つまり、そのような欧米の国では、それは命を繋ぐための施設であり、日本のように、殺すための施設では無いという事が根本的に違う点なのです。



・安楽死ではありません
世間一般に動物管理センターに持ち込まれた犬猫は安楽死処分されると思われていますが、そうではありません。実際には、炭酸ガスによる窒息死で、死ぬまでに10分程もかかり、その間、大変もがき苦しみます。酸欠に強い子は死ぬまでに30分かかることもあるのです。徐々に呼吸困難に至っていくその苦しみは想像を絶するものがあるでしょう。処分場の床には苦しみの爪痕が多数残っているとも言われています。また、体力のある子はガスでは死にきれず、そのまま、焼却処分されてしまうこともあるのです。
子犬や子猫は袋詰めにされ、ガスを注入されて生死の確認もされないまま、袋ごと焼却炉に放り込まれます。
また地方に多い真空処理という内臓破裂で死に至らしめる極めて残虐な方法や、毒物を使っての薬殺、また撲殺など、安楽死にはほど遠い方法が一部では行われています。
また自治体によっては、保健所に持ち込まれた犬猫を動物実験に払い下げている所もあります。人によく慣れた犬猫は、おとなしく実験しやすいという理由から各実験施設等に引き取られて行き、麻酔もなく死ぬまで、切ったりはったりを繰り返され、死ぬより辛い地獄を味合わなければならないのです。
誰もが、アウシュビッツの悲劇を知っています。
もう2度と繰り返してはならないと知っているはずです。
でも、それは、人間だけですか?種や姿が違えば許されるのですか?
犬や猫にも命はあるのです。決して生命はゴミではありません。
動物管理センターに安易に犬猫を持ち込むのはやめましょう。管理センターはゴミ捨て場ではありません。増えて困るなら殺すより不妊手術をして不幸な命を作らぬ努力をしましょう。
捨て犬、捨て猫は里親を探しましょう。飼い主からはぐれ、さまよい、結果、通報されて、管理センターに連れて行かれ処分されてしまう悲劇を無くすために、飼い犬や飼い猫には必ず迷子札か自宅の連絡先を明記したものを付けましょう。
もし、万が一、行方がわからなくなった時は、その日の内に近隣全ての管理センター、保健所、警察に届けを出しましょう。自分の住んでいる市や区以外の警察や保健所にも必ず忘れずに問い合わせて下さい。



・実験払い下げを行っている自治体(2000年現在)
(実験払い下げとは、動物管理センターに持ち込まれた犬猫を動物実験を行なっている関係機関に払い下げる事です。人によく慣れた犬猫は、おとなしく実験しやすいという理由から払い下げられていきます。)
北海道、札幌市、青森県、岩手県、宮城県、仙台市、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、横浜市、新潟県、新潟市、富山県、石川県、長野県、岐阜県、静岡県、静岡市、愛知県、名古屋市、三重県、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、岡山市、広島県、広島市、香川県、高知県、福岡県、北九州市、福岡市、佐賀県、佐世保市、長崎市、熊本県、熊本市、鹿児島県、鹿児島市




・実験払い下げを廃止している自治体(2000年現在)
小樽市、函館市、秋田県、秋田市、郡山市、埼玉県、千葉市、東京都、神奈川県、横須賀市、川崎市、富山市、金沢市、福井県、山梨県、岐阜市、浜松市、滋賀県、京都府、京都市、大阪府、東大阪市、大阪市、堺市、尼崎市、神戸市、姫路市、奈良県、和歌山県、和歌山市、呉市、山口県、下関市、徳島県、愛媛県、大牟田市、長崎県、大分県、大分市、宮崎県、沖縄県



・犬猫殺処分数ワースト5(2000年現在)

1位/福岡県、2位/千葉県、3位/兵庫県、4位/愛知県、5位/茨城県



・実験払下げ数ワースト5(2000年現在)
1位/静岡県、2位/青森県、3位/福岡県、4位/熊本県、5位/栃木県


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